需要予測MLOps確立への道のり ── 個別化と汎用化の「塩梅」を見極める
また、Google CloudとTROCCO(提供元:primeNumber)を導入することで、機械学習モデルの開発、デプロイ、精度の評価、再学習までのプロセスを自動化し、モデルの予測精度向上と運用の効率化の両立に取り組んでいる。モデルの予測精度を高めようとすると、各顧客の営業日などの詳細なデータが必要となる一方で、追加でデータ連携の仕組み構築が必要になり、運用負担が大きくなる可能性がある。だからこそ、単に予測精度向上だけを考えるのではなく、個別カスタマイズする部分と、サービスとして汎用化する部分の「塩梅」の見極めが重要になる。

このプロセスの完全自動化を目指し、ビジネスアナリシスセンターでは継続的な改善を続けている。まず、TOROCCOを導入し、需要予測のためのワークフローを構築した。また予測だけではなく、安定的な予測値提供のために運用の自動化にも取り組んでいる。たとえば、品質に問題があるものが学習データ内に入らないようにするため、自動で異常データを除外する機能や、機械学習モデルが何らかの理由で機能しない場合に備えてバックアップ予測値を作成する機能を実装している。また、今後は生成AIを活用しながら、予測精度が想定水準を下回った場合、考えられる原因を運用担当者に通知し、対応を促す機能の実装も視野に入れている。

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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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