富士通はなぜ3,000の顧客が利用するサービス基盤にNutanixを選んだのか
続いて、ニュータニックス・ジャパン 執行役員 Field CTO 兼 システムエンジニア統括本部長である荒木裕介氏が登壇し、日本市場における代表的な顧客事例を紹介した。
まず紹介されたのが、東急不動産ホールディングスの事例。同社は、VMware Cloud on AWSからAWS上のNutanix Cloud Platformへの移行を6週間程度という短期間で完了させた。このプロジェクトでは、Nutanixのネットワーク仮想化技術と移行ツール「Nutanix Move」を活用し、IPアドレスを維持したまま、270台の仮想マシンをスムーズに移行したという。
また、倉敷中央病院の電子カルテシステム移行では、切り替え時間を6時間に抑えられたとした。Nutanixの運用管理機能の活用により、運用負荷を大幅に軽減できたという。
東芝インフォメーションシステムズの事例については、同社の技術統括責任者 フェローである濁川克宏氏が詳細を説明した。東芝グループの社内ITを担う同社は、VMwareのコスト上昇を機に、代替ソリューションの検討を開始したという。
同社の情報システムは、社会インフラ系事業を支えるため「安定性」が極めて重要だと濁川氏は話す。製品としての安定性、品質、継続的なコスト効率、そして長期にわたるサポートの確実性を重視してNutanixを選択したとのことだ。
共通システムを先行して移行するこのプロジェクトは、2,200台の仮想マシンを対象とする大規模なものであり、最大2年かけてNutanixのプラットフォームへ移行する計画だとしている。濁川氏は、仮想マシンの移行ツールである「Nutanix Move」機能を活用することで、システムへの影響を最小限に抑えた移行を目指すとした。また何か問題が起こった場合でも、Nutanix本国の協力を含めた安定的なサポート体制が確保されていることが決め手になったと語る。
続いて、富士通 SVPプラットフォームビジネスグループ サービスインフラ事業本部⾧である関根久幸氏が登壇し、同社の事業向けサービスにおける運用基盤を、Nutanixの仮想化基盤を搭載するHCIサービス「PRIMEFLEX for Nutanix」へ移行した取り組みの詳細を語った。
富士通は、約3,000社の企業に利用されているサービス基盤の刷新において、「半年以内の移行完了」「コスト高騰の抑制」「サービスを止めない移行」「アプリケーション互換性の担保」という4つの大きな課題に直面していたという。
関根氏は、Nutanixと協働した結果として、以下の点を挙げた。
- 移行期間の短縮と確実性:Nutanix Moveを利用した検証により、目標期限内に完了できる確証を得た。実際、この社内プロジェクトは、サービスへの影響が少ない深夜などの限られた時間帯に作業を進める形で、予定通り2ヵ月で完了している。
- コストと運用の最適化:ライセンス費用に加え、メンテナンスに関する自動化の検証により、トータルコストの低減が可能であると判断した。導入コストについては、少なくとも30%程度の削減が見込まれている
- サービス継続性と運用効率:サービスを継続したままの移行を実現し、移行後1ヵ月半にわたる運用の間、サービス停止は発生していない。また、特定の運用作業において90%をほぼ自動化した
この社内実践に基づき、富士通は2つの新たなサービスを発表。一つは、既存仮想化環境からNutanix環境への移行を支援するプロフェッショナルサービスである「MCマイグレーション支援サービス for Managed Service」だ。これには、Nutanix Moveの活用、Nutanixのベストプラクティスと富士通の実践知に基づく最適なハードウェア構成の提案、そして運用設計の支援などが含まれる。関根氏は、同サービスの提供に向け、Nutanixの認定技術者を前年比10倍に増強したと話す。
もう一つの新サービスが、移行先として用意されたマネージドサービス「Fujitsu Managed Service for New On-Premises」。これは、セットアップ済みのNutanix HCI環境を富士通のデータセンターに設置し、富士通のクラウド運用ノウハウと高いセキュリティ基準に基づき運用・保守までトータルで提供する、月額固定のサブスクリプション型サービス。これにより、顧客は運用の手間から解放され、Nutanixのツールを活かした専有環境を利用できるとした。
関根氏は最後に、「今後企業における生成AI活用がますます浸透していく中で、自社の専有環境をもっていることが、その企業にとって非常に大きな武器になると考えている。今後は『Nutanix Enterprise AI』と当社のソリューションを組み合わせながら、顧客のクラウド移行からその先の生成AIの活用まで支援すべく、さらなる協業を検討していきたい」と述べ、説明を締めくくった。
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