NTTは、大規模言語モデル(以下、LLM)の普及にともなう電力消費やコスト増加といった問題の解決に向け、軽量でありながら高性能な日本語処理性能を持つLLM「tsuzumi 2」の提供を10月20日に開始した。
NTTは、パブリック環境やクローズ環境、顧客の業務形態やデータ要件に最適なAIソリューションの提案・導入を推進しているという。多様なAI提案力を総合的に向上させ、AIポートフォリオの拡充を目的に、tsuzumi 2をラインアップに追加したとのことだ。
「tsuzumi 2」の特徴
日本語性能のさらなる向上
日本語性能においては、同サイズ帯のモデルと比較して高い性能を実現しているという。ビジネス領域で主に重視される知識、解析、指示遂行、安全性の基本性能では、数倍以上大きなフラッグシップモデルに匹敵するレベルを達成し、コストパフォーマンスに優れているとした。
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特化型モデル開発効率の向上
RAGとFine Tuningにより、企業や業界に特化したモデルの開発効率が向上。tsuzumi 2は、顧客からの要望が多かった金融・医療・公共分野の知識を強化したという。これにより、これらの分野で高い性能を発揮し、特化チューニングによる精度向上にも優れているとのことだ。
また、汎用的なタスク特化チューニングにより、多様な業務での活用も可能。たとえば、NTT社内において「財務システムに関する問い合わせ対応業務」に活用した評価では、他社の先進モデルと同等以上の性能を確認したと同社は述べている。
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低コスト・高セキュアの維持、国産AI
「tsuzumi」はNTTがフルスクラッチでゼロから開発した純国産モデル。1GPUで動作可能な軽量モデルでコストパフォーマンスに優れ、低コストでオンプレミスやプライベートクラウドでの運用が可能であり、機密性の高い情報も安全に取り扱える点が特徴だとしている。
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NTTは今後、tsuzumi 2の提供開始を機に、NTTグループ各社からのソリューション提供、サービス実装を順次推進していくという。また、サイバーセキュリティ分野への応用、自律的に連携し議論するAIコンステレーションなどの開発も進めるとのことだ。
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