SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Security Online Day 2026 Spring

2026年3月 オンライン開催予定

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2025年夏号(EnterpriseZine Press 2025 Summer)特集「“老舗”の中小企業がDX推進できたワケ──有識者・実践者から学ぶトップリーダーの覚悟」

Workday Rising

GenAI登場で大きく変わったAI開発者の仕事、WorkdayのAIリーダーが重んじる開発の哲学とは

ナイキのAI責任者を経てソフトウェア企業へ、AIの変遷とともに歩んできたシェーン・ルーク氏に尋ねる

 2025年9月に、米国サンフランシスコで年次フラッグシップイベント「Workday Rising 2025」を開催したWorkday(ワークデイ)。今年は、“Next-Generation ERP(次世代ERP)”の体現を掲げ、AIと人が自然と協働する世界を実現する様々な機能やプラットフォームの拡張、新たなエージェンティックAIの発表を行った。そんな同社でAI責任者を務めるシェーン・ルーク(Shane Luke)氏に、AI開発者として現在のテクノロジーの潮流をどう捉えているか、またWorkdayの進化の方向性や、AI開発の舞台裏について話を伺った。ユーザー側だけでなく、AI開発に携わる方にもぜひご一読いただきたい。

GenAI登場で“AI開発者”の仕事とスキルは変わった?

 シェーン・ルーク氏は、Blue Mesh Solutionsというソフトウェア企業の創業者兼CEOでもあるほか、過去にはNike(ナイキ)のDigital InnovationグループでAI・機械学習部門のグローバル責任者を務めた経験も持つ。Workdayにジョインしたのは2019年のことだ。「ナイキも素晴らしい企業だったが、ソフトウェアの技術で勝負する専門企業で働きたいと考えWorkdayに参画した」と当時を振り返る。現在はAI責任者として、同社のAIイニシアチブを主導している。

 「私が参画して以降、Workdayの国際展開もさらに加速してグローバルの顧客比率も本当に多種多様になりましたね。日本、韓国、シンガポールと、アジア太平洋地域のお客様と接する機会も増えました。私は技術側の人間ではありますが、Workdayのソリューションが世界中の企業でどのように活用されているかを学ぶ貴重な経験となっています」(ルーク氏)

Shane Luke(シェーン・ルーク)氏[Vice President, Product and Engineering, Head of Workday AI]

Shane Luke(シェーン・ルーク)氏

[Vice President, Product and Engineering, Head of Workday AI]

 ルーク氏はナイキ時代も、そしてWorkdayでもAI責任者を務めている。生成AIが登場するよりも前から、この技術分野で最前線に携わってきた。そんな同氏の「VP, AI and Machine Learning(AI&機械学習担当 バイスプレジデント)」(※取材当時)という肩書に興味がわき、次のように尋ねた。

生成AIの登場で、機械学習(ML)をはじめAI開発の世界にはどんな変化が起こりましたか?(聞き手:名須川 楓太[EnterpriseZine編集部])

 するとルーク氏はMLの手法に転換が訪れたと語り、次のように話した。

 「生成AIが登場する以前の時代では、新しいビジネス課題や社会課題が出てくると『どんなモデルを構築するか……』と、モデリングのレベルから考えるのが一般的でした。しかし生成AIが登場してからは、多くの問題がLLM(大規模言語モデル)で十分に解決できるようになったため、『どうやってモデルの能力を適用するか』を考えることが多くなりました」(ルーク氏)

 この変化は開発者のスキルセットにも影響している。以前は、モデル開発サイクルを経た先にビジネス価値の創出があったが、現在は直接ビジネス価値の創出に取り組むことが可能となった。よって、開発者に必要なスキルとして、モデル開発よりもモデルチューニングとトレーニングに重点がシフトしているという。

 「モデル蒸留(大型モデルの知識を小型モデルに転移する技術)やLoRAアダプター(モデル調整の効率的な手法)など、洗練された技術を使ってモデルを特定の用途に調整するような仕事が増えましたね」(ルーク氏)

 また、複数モデルの連携という新たな技術領域も生まれている。以前は、単一モデルシステムで推奨事項の生成や異常検知を行うことが一般的だったが、現在は採用や財務監査、学習コンテンツ生成などの特定分野に特化したモデルと、それらをいつ呼び出すかを決定するモデルを組み合わせたシステムを検討しているという。

 ルーク氏は、これを「スペシャリストとゼネラリストのエコシステム」と表現し、従来にはなかった新しい構造だと述べた。

次のページ
「Illuminate」開発の舞台裏、Workdayが貫いたモデルとデータへのこだわり

この記事は参考になりましたか?


広告を読み込めませんでした

広告を読み込み中...

  • Facebook
  • X
  • note
Workday Rising連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/23043 2025/11/10 10:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング