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「決断力の変革」こそがデータ活用の真価──カギとなる“産業”を知り尽くした自律型デジタルワーカーとは

42年の知見から生まれた“産業特化”の自律型AI、対応スキルは既に150種類

 データ活用の真の価値は、効率化ではなく「決断力」を変革することにある。多くの企業がAIの導入段階で苦戦する中、IFSが提供するのは、現場・マネージャー・経営陣の“意思決定”を支援する産業特化型のAIアプローチだ。2025年11月7日の「Data Tech 2025」に登壇したIFSジャパンの竹中康高氏は、すでに200社以上のユースケース・年間約2.5億の作業件数という同社のAIの実績を背景に、コニカミノルタビジネスソリューションズ(英国)が実現したROI 4.36倍の達成事例などを紹介。さらに、自律型AIのデジタルワーカーが、顧客からの1本のメールを起点に自動的に判断・行動し、人間は承認を下すだけで最後のアクションまで完結するサプライヤー連携システムのデモも行われた。

42年の資産管理ノウハウが生んだ“産業特化型”AI

 1983年にスウェーデンで創業されたIFS。産業特化型のERP、EAM(企業資産管理)、FSM(フィールドサービス管理)ソリューションを提供する企業だ。現在はグローバルで7,000名以上の従業員を抱え、2024年の収益は約2000億円にのぼる。航空・防衛宇宙、製造、建設・エンジニアリング、エネルギー、交通輸送、テレコム・通信といった、特定のミッションクリティカルな業界に特化したソリューションを展開している点が特徴だ。日本法人(IFSジャパン)は1997年に設立され、今年で28年目を迎える。

 竹中氏は、IFSの独自性を創業の歴史から紐解いた。同社は、大学生がスウェーデンの原子力発電所の保全プログラミングを手掛けたところからスタートした。そして42年間にわたり蓄積されてきた産業特化ノウハウが、現在の技術の基盤となっている。2023年にはオンプレミス型からSaaS型の「IFS Cloud」へと大きくアーキテクチャを転換し、今ではガバナンスやセキュリティの要件が厳格な業界でも利用できる、AIを活用した数々の機能を提供している。

 IFS Cloudでは、ERP、EAM、FSM、ESM、さらには航空機や兵装などの複雑なメンテナンスに必要なMRO(メンテナンス、修理、オーバーホール)、そして資産投資計画のためのAIPなどといったソリューションを、単一のプラットフォームで提供している。

IFS Clouldの全体像
IFS Cloudの全体像

 特筆すべきは、「IFS.ai」と称する産業用AIが、これらすべてのソリューションにおいてソースコードレベルでアルゴリズムを組み込んで提供されている点だ。顧客のプロジェクトプランに合わせて、スモールスタートでの段階的な導入も可能となっている。「IFS Cloudを導入すると、すぐに標準的なAI機能を利用いただけるのが特徴」と竹中氏は説明する。

米国海軍や原子力発電所もユーザー、「設計から廃棄まで」一元管理できるプラットフォーム

 社会インフラレベルの複雑な業務を、単一のプラットフォームで統合管理できることがIFS最大の強みといえる。実際、その性能とユーザー体験は世界中から高く評価されている。

 同社の主要なユーザーとして挙げられるのが、たとえば米国海軍(United States Navy)だ。米国海軍では、船舶の艦隊全体と航空機をサポートする海軍運用メンテナンス環境(NOME)および海軍航空メンテナンスシステム(NAMS)に、IFSのERP・EAMソリューションが採用されている。軍事・防衛の複雑な専門知識にも対応している点と、安全なアーキテクチャ、高度なメンテナンス、非接続でのオペレーション、さらにはNAMSとNOME両方の要件を満たす高いソリューションの能力が導入の決め手となった。

 また、現在は運転が終了しているスウェーデンのバーセベック原子力発電所では、1994年から30年以上にわたり、在庫管理・調達・保守管理にIFSが利用されてきた。そして現在は、発電所の廃炉・解体プロセス全体の文書管理をIFSのソリューションが担っている。

 「この原子力発電所1基の建設情報だけでも、紙の設計書面を積み上げると高さ約70メートルに達するほどのデータが存在します。これらの膨大な文書をすべてデジタル化して、IFSのERPクラウドで一元管理することで、書面情報の検索が容易になり、業務効率化を実現しました」(竹中氏)

 稼働中のフィンランド・オルキルオト原子力発電所では、建設・改修・運用保守の全体にわたり、約500名のユーザーが日常業務にIFSを活用。プラットフォームのプロジェクト管理機能により可視性が向上し、プロジェクトの変化にも容易に対応できる状況を実現・維持している。

 これらの事例で注目すべきは、IFSがPLM(製品ライフサイクル管理)を設計から廃棄まで一気通貫で管理できるプラットフォームだという点だ。竹中氏は、「1つのプラットフォーム上で設計から廃棄までを一元管理できるソリューションを有しているのは、唯一我々だけではないか」と自信を見せる。

データ活用は決断の連続、IFSの産業用AIはこの「決断」を支援する

 昨今、多くの組織が関心を寄せているのが、やはりAIの導入と活用についてだ。竹中氏は、多くの企業が直面するAI導入の現実を数値で示した。IFSの調査によれば、70%の企業が今後12ヵ月でAI投資を増加予定だとしている一方、80%以上の組織がデータ品質の課題に直面し、50%以上の企業がAI導入にかかるコストの高さに苦しんでいるという。

 「データを活用した先に、どのようなビジネスのゴールを見据えているのか。そこから得られるリターンには、本当に投資するだけの価値があるのか。日本企業は欧米企業に比べ、この部分で悩まれている方が多いです」(竹中氏)

IFSジャパン株式会社 執行役員 ビジネス戦略担当兼プリセールス本部長 竹中康高氏
IFSジャパン株式会社 執行役員 ビジネス戦略担当兼プリセールス本部長
竹中康高氏

 さらに竹中氏は、データ活用における意思決定の課題を指摘した。

 「いざデータを活用する時に、繰り返し訪れるのが『決断』です。現場が決める、マネージャーが決める、役員が決める……。これは課題にもなります。決断するという行為を迅速に、必要に応じてできるかどうかが大きなポイントになるのです」(竹中氏)

 この課題に応えるべく、IFSは多様なAI展開のアプローチを採用している。たとえば前述のとおり、IFS Cloudに標準搭載された組み込み型AIを即座に利用開始してみることも可能だ。あるいは、タスクベース/ロールベースに設計された産業用エージェントの自律型AI「デジタルワーカー」を利用して、現場業務を変革することもできる(これについては後ほど詳しく解説する)。さらには、顧客と共にAI活用の新たなユースケースを開発する「Nexus Black」という共創サービスもある。これにより、さらなるAI活用の場面を発見・開拓することも可能だ。

まずはAI導入の入口として標準搭載のIFS.aiを利用してみて、段階的に自律型AIの活用へと移行していくことが可能だ。
まずはAI導入の入口として標準搭載のIFS.aiを利用してみて、段階的に自律型AI(デジタルワーカー)の活用へと移行していくことも可能だ。

 加えて竹中氏は、MIT CISR(マサチューセッツ工科大学 情報システム研究センター)との共同研究を通じ、顧客から得たノウハウだけでなく、産学連携でノウハウを融合して製品強化を進めていることを明かした。

 こうして進化を続けるIFS.aiは様々な産業の現場で活用され、「決断」シーンの変革を実現している。その数は既に200以上のユースケース、作業件数にして年間2.5億。竹中氏は、「従業員と一緒に伴走して現場体験を変革するという設計思想が、IFSが選ばれるポイントになっている」と述べた。

 実例として、コニカミノルタビジネスソリューションズ(英国)での変革事例がある。同社はIFSのAI駆動型PSO(Planning & Scheduling Optimization)とSAPデータを活用し、フィールドサービスの効率化を実現した。サービスコールの83.5%を自動スケジュール化したほか、技術者あたりの対応完了件数を17%向上、ROIを18ヵ月以内で4.36倍向上、さらにはSLA達成率21%向上、1日あたりの対応完了件数25%増加という成果を記録している。

 組織変革にも大きな影響が2つあった。1つ目は、営業手法の抜本的な改革だ。IoT技術を活用した遠隔保守と、従来からの現地保守によるハイブリッド体制へとシフトしたことで、移動時間を含めた効率性が大幅に向上した。2つ目は、技術者のスキル向上に向けた投資の継続を決断できたことで、顧客訪問時の技術範囲拡大を実現、それにより単価上昇とPL改善を成し遂げたことだ。

 「データを価値に変えることで、組織が変わります。そして、それが収益へとつながっていきます。これこそがデータ活用のインパクトです」(竹中氏)

人が担うのは“承認”だけ、学習で進化し続ける「デジタルワーカー」が協働でアクションまで遂行

 ここで竹中氏は、エージェント時代のIFS Cloudにおける進化の象徴ともいえる、自律型AIデジタルワーカーの実働デモンストレーションを披露した。デモで紹介されたのは、受信した1本のメールを起点に、3つのデジタルワーカーが連携して業務を完結させる様子である。

 まず、「サプライヤー調整エージェント」が受信したメールを自動解析し、送信者の意図を汲み取る。すると、送信者である顧客が、単価の変更を要求していることが判明。この意図を汲んだエージェントは、現在のサプライヤーが適切かどうかを自動判定し、責任者(人間)にTeamsで「この件について相談に乗っていただけますか?」と自動的に問いかける。

 責任者が相談の内容を見てみると、エージェントが2社の仕入先を変更することを推奨している。その理由を確認し、たしかに仕入先の変更が必要だと判断。エージェントの提案を了承すると、次に「サプライヤー選定エージェント」が自動処理を開始する。最適な仕入先を選択し、単価も変更した上で後続ジョブに流すのである。すると最後に、「サプライヤーコミュニケーション・エージェント」が自動で部署横断的な処理を完了する。

 この一連の流れの中でエンドユーザーとAIが接点を持つポイントは、責任者による「承認」のみだった。

様々な職務・役割を担うロールベース設計のデジタルワーカーを備えている
様々な職務・役割を担うロールベース設計のデジタルワーカーを備えている

 IFS Cloudは2025年度の時点で、約150種類の業務とスキルに対応できる自律型のデジタルワーカーを実装済みだ。現時点でデジタルワーカーが企業に提供するのは、以下6つの価値である。

  1. 繰り返し作業の削減:手作業を自動化し、チームはより価値ある業務へ集中できる
  2. スマートなリアルタイム意思決定:自律的な判断で非効率を削減し、俊敏性を向上させる
  3. 企業データの統合:AIがデータとシステムをつなぎ、迅速で実用的なインサイトを提供する
  4. 追加コストなしでスケールとスキル向上を実現:自動化で人員・コストを増やさず業務能力を拡張する
  5. 設計段階からコンプライアンスを確保:ガバナンスを組み込んで安全なワークフローと法規制遵守を実現する
  6. 継続的な学習と適応力:エージェントが学び続け、常に進化する自動化を実現する
対応している業務・スキルは既に150種類にのぼる。
対応している業務・スキルは既に150種類にのぼる。

 「最も重要なことは、企業活動に必要なデータを“意味のある内容”として活用し、必要な時・迫られた時に迅速に意思決定できることです。IFSユーザーの多くは、現場レベルで既にこれを実現しています」(竹中氏)

 これらを提供するIFSジャパン自身もまた、自社内での実践例を示している。同社は2023年より、エージェント型AIを日常の営業活動に導入した。その結果、従業員数は微増にとどまる一方で、売上は計画通りに推移し事業拡大を達成している。

 「我々自身もAIを効果的に活用しています。AIやデータを活用する仕組みを実装すれば、たとえば営業なら本来狙うべき案件や対象を絞り込んで、効率的かつ効果的な売上の増加を継続できるようになります。これこそが、データとAIによる決断の変革です」(竹中氏)

現場に成果をもたらす産業用AI

IFSは業界特化の知見で、貴社の状況に合わせた活用方法をご提案します。

詳細はIFS公式サイトよりお問い合わせください。

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提供:IFSジャパン株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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