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松屋 古屋毅彦×テックタッチ 井無田仲──伝統と革新の両立を実現する、松屋銀座のデジタル変革の舞台裏

老舗百貨店の5代目が進める「リアル体験」の再定義

「買い物自体をポジティブに」松屋銀座が目指す“幸せの循環”とは

井無田:御社では、デザインとビジネスを掛け合わせたスクール「松屋銀座による次世代リーダー育成プログラム」を主催されているそうですね。

古屋:そうです。日本で伝統工芸をはじめとした“ものづくり”が苦しんでいる現状に松屋として何かできないか、と考えたことがきっかけでした。ものづくりの現場にいる生産者がビジネススキルを身につけることは、非常に大切です。そこで長年お付き合いがある日本を代表するデザインの先生方と組み、ビジネススクールのように学ぶ場を提供しています。「デザインをどのようにビジネスに活かし、独自性やクリエイティブさを発揮していくか」を軸にした内容で、3期目がスタートしたところです。

井無田:興味を持つ人は多そうですね。 物販中心から体験型サービスの提供へとシフトが進む中で、デジタルが果たせる可能性をどのように定義していますか。

古屋:デジタルより、五感を使ったリアルな体験のほうが、お客様の満足度を高めることは確かです。その反面、情報量が多過ぎると選べなくなることもあると思います。お客様の趣味や購買方法が変化している今、待っているだけでは来てもらえませんし、来店いただいてもピンポイントで用事を済ませてお帰りになってしまうこともある。

 そうした点で「matsuyaginza.com」を通じ、松屋のカラーとカルチャーを紹介し、来店時には商品をリアルな場で体験していただく。そのようなリアルとデジタルの連動が理想だと考えています。

井無田:組織文化の変革において、変化が激しい時代におけるリーダーシップの在り方をどのようにお考えでしょうか。

古屋:今も試行錯誤中ですが、多くを発信することは続けていこうと思っています。社内イントラにはSNSの掲示板のようなページがあり、そこに社長としての考えを発信しています。営業時間後、それぞれの部署を回って話を聞くこともルーティンにしています。

 でも、それだけだと足りないとも思っています。現状を変えることは容易ではなく、背中を押すだけではなかなか人は動きません。デジタル化に関しても同じことが言えるのですが、社員が自ら「やらなきゃ」「やりたい」と思うように旗振りをしていくことがリーダーシップだと考えています。

井無田:さまざまな課題がある中でも、前進されていることを感じます。最後に、御社が掲げている未来のビジョンについて教えてください。

古屋:百貨店は日本全体が成長していく時代の先頭に立ち、さまざまな商品やファッションを紹介していく存在でした。新しい、楽しいものと出合えるハレの場であり、豊かさの象徴でもあったと思います。日本は物質的に豊かになりましたが、次世代の人たちが私たちと同じ水準で生活しつづけることができるかはわかりません。

 資源を守ろうとしている人たち、未来に希望を託してものづくりをする人たちと一緒に販売していくことで、お客様の買い物自体がとてもポジティブなものになっていくと思っています。その“幸せの循環”を生み出すことを松屋のミッションにしています。

井無田:五感を揺さぶる「リアルな体験」と「買い物自体のポジティブな循環」という壮大なミッションの裏側には、ITが円滑に機能することが不可欠だとあらためて認識しました。歴史ある企業の経営者として、伝統と革新の両面を重んじる古屋さんの話は貴重でした。本日はありがとうございました。

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この記事の著者

井無田 仲(イムタ ナカ)

テックタッチ株式会社 代表取締役慶應義塾大学法学部、コロンビア大学MBA卒
2003年から2011年までドイツ証券、新生銀行にて企業の資金調達/M&A助言業務に従事後、ユナイテッド社で事業責任者、米国子会社代表などを歴任し大規模サービスの開発・グロースなどを手がける。「ITリテラシーがいらなくなる...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

中釜 由起子(ナカガマ ユキコ)

テックタッチ株式会社 Head of PR中央大学法学部卒。2005年から2019年まで朝日新聞社で記者・新規事業担当、「telling,」創刊編集長などを務める。株式会社ジーニーで広報・ブランディング・マーケティング等の責任者を経て2023年にテックタッチへ。日本のDX推進をアシストするシステム利...

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