オンワードデジタルラボは、Google Cloudの生成AIや関連AIサービスを活用したECサイト「ONWARD CROSSET」の改革を発表した。同社はオンワードホールディングスのデジタル戦略を担う中核企業として、OMO施策やDX推進を進めている。

今回の施策では、検索機能の強化を目的としてGoogle Cloudの 「Vertex AI Search for commerce」を導入した。従来のECサイト検索は商品名や説明文のキーワード一致に依存していたが、今回導入したAIは意味を理解するセマンティック検索を実現。ユーザーの自然な言葉にも対応し、意図した商品への到達精度が向上したという。ABテストでは検索あたりの購入金額が14.2%向上するなど、顧客の利便性やコンバージョン向上を確認している。
今後、ユーザーの過去購入・閲覧履歴に基づき、個々に最適な商品やカテゴリを表示するパーソナライズ機能の発展も計画されているとした。また、検索ワードに合わせトレンド性のある自動絞り込みキーワード(ファセット)表示も検討しており、直感的かつ快適な商品探索体験を目指している。
EC運営に必須の「ささげ(撮影・採寸・原稿)」業務にもAIを本格導入。独自サービス「AIme(アイミー)」をリリースし、商品の説明文は生成AI「Gemini」で作成する。従来は担当者ごとに品質差があったが、作成時間を最大5割短縮しつつ品質を向上させた。また、画像編集には「Nano Banana」などを活用し、再撮影コストを抑制。年間約200万円規模のコスト削減効果も見込まれている。
さらに、商品画像やモデル画像から動画を生成するAI「Veo」の試行も開始。高単価商品の販売促進に動画活用を図る一方、誤情報発信防止のためリスク管理も徹底している。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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