IBMは12月8日(米国時間)、Confluentの全発行済み普通株式を1株当たり31ドル、企業価値約110億ドルで買収する最終合意に至ったと発表した。この買収により、IBMはエンタープライズ向けのAIやアプリケーション構築に不可欠なリアルタイムデータ統合とガバナンス機能を強化し、次世代のスマートデータプラットフォームを実現する計画であるという。
Confluentは、オープンソースのエンタープライズ向けデータストリーミングプラットフォームを提供しており、組織内外の分散したデータやイベントのリアルタイム接続・処理・管理を可能としている。Apache Kafkaを基盤とし、6,500社以上、フォーチュン500企業の40%以上に導入されている。同社のプラットフォームは、Confluent Cloud(フルマネージド型)、Confluent Platform(セルフマネージド型)、WarpStream(ハイブリッド型)、Confluent Private Cloud(プライベート環境向け)の4形態を展開し、多様なクラウドやオンプレミス環境に対応。
今回の買収は、世界的なデータ量とアプリケーション数の増加、AIの活用拡大による複雑化するIT基盤への対応を意識したものであるとした。IDCによれば、2028年までに10億件超の新たな論理アプリケーションが登場し、グローバルのデータ量も倍増すると予想される。IBMは、Confluentのリアルタイムデータストリーミング技術と自社のAIインフラやオートメーション基盤を組み合わせることで、ハイブリッドクラウド環境におけるアプリケーション、分析基盤、AIエージェント間のシームレスな統合を進める計画だ。
本取引の完了はConfluent株主および規制当局の承認などを前提としており、2026年半ばの完了を見込む。Confluentの主要株主の約62%が合意済みで、IBMは手元資金で買収を行う予定。買収後、IBMの売上成長加速や運用効率化、収益面の改善効果が見込まれている。
今回の買収は、Red HatやHashiCorpなどに続くIBMのオープンソース領域への投資強化策とも位置付けられる。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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