150人のIT人材をどう動かす?三井不動産が「AIエージェント」と「交換留学」で狙う組織の化学反応
第41回:三井不動産 執行役員 DX本部長 宇都宮幹子さん
“分身”を作って見えた、AIエージェントの役割と必要要素
酒井:「まず使ってみる」を実践したのが、宇都宮さんの分身AIエージェント「DX本部長AIエージェント」ですね。
宇都宮:とにかく今すぐ作ってみようと、すぐに取りかかれる私で試しました。7月にスタートして、1ヵ月ほどで完成しましたね。AIにインプットしたのは、私の方針や仕事への価値観、それからストレングス・ファインダーの結果です。34の資質のうち、私は調和性などの人間関係力、フィジビリティを重視する実行力が上位を占めています。それと、とにかくせっかち(笑)。そういう特性を入れました。
一時期はDX本部長AIエージェントの指摘と、私の発言の付け合わせのチェックを義務化するほど本腰を入れていました。実際の私の反応と比べると、コアなところは一緒で、割ときちんと反映できていましたね。使い方のコツもわかって利用率も少し下がってきたので、次のステップを検討中です。
酒井:それはどうしてですか?
宇都宮:アップデートが大変だからです。今の世の中、数日あれば情報は変わるし、私自身の考えも変わる。そのメンテナンスに手間がかかるんです。トライアルの結果をもとにDX本部長AIエージェントにどのような効果を期待するか、再考したいと思います。2025年12月に「社長AIエージェント」を社内にリリースしましたので、今後はその効果も検証していきます。
AIエージェント活用イメージ
引用:三井不動産プレスリリース
「社長AIエージェントなど独自AI開発と、全部門で150名のAI推進リーダーを設置」(2025年12月23日)
酒井:社長AIエージェントを開発した目的は何ですか?
宇都宮:社長AIエージェントは、社長と話す機会がない社員に考え方や方針を浸透させるためのもので、社長が普段話していることや講演の記録、キャリアなどをインプットしています。好き嫌いリストも作りました。好きなお店、朝はパン派かごはん派か、好きなお弁当はとか。今はいったんトライアルで提供しているところです。
酒井:なるほど。トライアル中に、社長の好きな食べ物も変わるかもしれないですしね(笑)
宇都宮:加えて、役員AIエージェントも予定しています。そちらは役員のパーソナリティではなく、会社としてのビジョンやビジネス戦略を中心にしています。つまり、そのポジションが誰になっても使えるようにします。
分身AIエージェントを開発・運用してみて分かったのは、パーソナリティの情報はあまりいらないかな、ということ。私がDX本部長になって新たに打ち出した方針などはインプットする必要がありますが、せっかちかどうかは重要じゃない。
酒井:おもしろい。それこそ実際にやってみたからこそ得られた気づきですね。
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酒井 真弓(サカイ マユミ)
ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...
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