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新リース会計基準まもなく「強制適用」……この“好機”を単なるシステム刷新で終わらせてよいのか?

デロイト トーマツの会計プロフェッショナルが送る「一過性で終わらせない」業務プロセス変革の勘所と実効策

 新リース会計基準の強制適用がいよいよ間近に迫る。会計処理の観点からは、従来オペレーティング・リースとして費用処理していたものも、すべて使用権資産としてオンバランス処理しなければならない点が最大の論点だが、これは単なる会計ルールの変更にとどまるものではない。また、オンバランス処理が必要ということは、原則該当するすべてのリース取引の契約条件を把握することが必須であり、そのためには会社全体のリース契約の把握が不可欠となる。では、どうすれば新たな会計基準に適応し、自走しつづけられる組織・システム・業務プロセスを構築できるのか。カギを握るのは、「専門性」「オペレート」「テクノロジー」を掛け合わせた変革の推進だ。デロイト トーマツで数多の企業に対し新基準対応の支援を手掛ける、会計のプロフェッショナルたちに勘所を尋ねた。

新リース基準適用は「会計処理」の変更だけで済む問題ではない

 2027年4月1日以後に開始する事業年度から、新リース会計基準が強制適用される。そのため、3月決算の企業に残された準備期間はあと1年もない。

 新基準によって大きな影響を受ける企業は少なくない。これまでオペレーティング・リースとして費用処理するだけで済んでいたリース資産についても、原則すべてをオンバランス処理しなければならない。単に資産を計上して減価償却をするだけなら、従来の固定資産と変わらないが、新たに利息費用の処理が必要となる。また、契約内容が変更となるたびに再計算も欠かせない。となると、単に会計処理をするだけでも、従来のシステムのままでは対応できないかもしれない。そう不安に感じている方もいるだろう。

 そもそも、新リース会計基準で会計処理をするためには、社内すべてのリース契約を把握する必要が出てくる。ただし、すべての契約が必ずしも「リース」と契約書に記載されているわけではなく、現場ではリース契約に該当するのかどうか、判断しかねるケースも出てくるだろう。また、リース契約に該当するすべての契約情報を収集するための“内部統制”を全社に浸透させる必要もある。つまり、新基準への対応は、経理部だけで完結するものではない。

 加えて、社内のリース契約をすべて把握するとは言っても、大企業やリース契約が多い業種では、その数が数千~数万件に及ぶケースもある。それを、従来の経理処理と同様に表計算ソフトに取り込み減価償却、利息計算、減損処理していくというのは、さすがに無理がある話だ。

 デロイト トーマツの浜島常雄氏は、「リース取引を網羅的に識別し、正確な会計処理を実現するには全社的視点を持って取り組む必要がある」と指摘する。同氏はこれまで数々の企業に対し支援を行っており、その中にはIFRS第16号「リース」を適用して、既に網羅的にリース資産を計上している企業もある。そうした数々の支援実績を振り返ってみても、単に“経理から現場にお願いする程度”では上手く回らないケースが多いのだという。

合同会社デロイト トーマツ ファイナンスアドバイザリー&オペレーション マネージングディレクター 浜島常雄氏
合同会社デロイト トーマツ ファイナンスアドバイザリー&オペレーション マネージングディレクター/公認会計士 浜島常雄氏

 つまり新リース会計基準の適用は、単なるルール対応以上に困難がともなうプロジェクトというわけだ。もちろん、不動産業や小売業など大きな影響が見込まれる業種では、大手を中心に早期から対応に着手している企業も多い。しかし、それ以外の業種や、プロジェクトやシステム投資に割くリソースが限られる中堅・中小規模の企業では、強制適用まで1年を切った今でも対応に苦慮しているところも目立つようだ。

新基準対応の土台となるシステムは、自社の要件に本当に合っているか?

 システムは、新リース会計基準に備えるうえで重要な土台となる要素だ。たとえば固定資産管理においては、これまでと同じように表計算ソフトや既存の社内システムで新リース会計基準にも対応しようと考えている方もいるかもしれない。しかしながら、リースの会計処理では、契約期間の延長やフリーレントなど、様々な条件を考慮する必要がある点に注意が必要だ。果たして、現行のシステムで対応できるのか……。

 デロイト トーマツは、以前から「Universal Business Cloud」というSaaS型の業務システムサービスを専門家によるコンサルティングとあわせて提供してきた。このサービスを技術・システム面から支える藤原修氏は、「既存のシステムで対応をつづけるよりも、新リース会計基準に対応したシステムの導入を検討するほうが望ましい」と進言する。結果的に、そのほうが間違いなくコストメリットがあるからだ。

デロイト トーマツ プロダクト&テクノロジー株式会社 代表取締役社長 藤原修氏
デロイト トーマツ プロダクト&テクノロジー株式会社 代表取締役社長 藤原修氏

 その際、重要となるのは自社の業種やビジネスモデル、ビジネス慣行などを調査し、どのような契約が社内外に存在しているのかを把握することだ。その調査結果が、そのままシステムの要件定義になりうる。現在のシステムは、自社の要件に適切に対応できそうか。問題なさそうであれば現行システムのままでもよいが、不安や懸念があるならばこの機に見直しを図るべきだ。それが、新リース会計基準への最低限の備えとなる。

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システムだけで「根本的解決」は無理、業務プロセスの変革は苦難の連続……

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この記事の著者

納富 隼平(ノウトミ ジュンペイ)

合同会社pilot boat 代表社員 CEO
1987年生まれ。明治大学経営学部卒、早稲田大学大学院会計研究科修了。在学中公認会計士試験合格。大手監査法人・ベンチャー支援会社を経て、2017年に合同会社pilot boatを設立。長文でスタートアップを紹介する自社メディア「pilot boat」、CVC...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:デロイトトーマツグループ合同会社

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