「分析はAIに任せる時代」に生き残るFP&A組織像──好業績企業に共通する組織デザインからひも解く
早稲田大学商学学術院 目時壮浩教授に訊く、攻めの管理会計を実現する“システム設計”
好業績企業は管理会計システムにある特徴が? 成功の秘訣を探る
目時氏によると、高い業績を上げている企業のシステム環境には、財務情報と非財務情報を効果的に連携させる共通の工夫が見られるという。本来、外部報告用に財務情報を管理する「財務会計」と社内向けに非財務情報を含めて管理する「管理会計」は目的が異なるため、システムは別々であることが望ましいとされている。しかし、完全に分離するのではなく、財務情報のなかで管理会計に活用できるデータを適切に共有し、一体化を図る動きが大きな企業を中心に進んでいると同氏は述べる。
さらに、システム構築の前に「価値を生むドライバー」を明確に特定している点も、好業績企業に見られる特徴だ。「何が財務業績を高める要因なのか」をFP&A担当者が理解していなければ、そもそも何の情報を集めるべきか判断できない。たとえば、FP&Aの見本と評される日本のある企業では、従業員のエンゲージメントなど、将来の企業価値に結びつく非財務的な指標を特定し、組織的に蓄積する設計思想をもっているそうだ。
現状、このような非財務データが自社に不足していると悩む企業は多い。しかし、自社にとっての“価値を生むドライバー”を特定し、数年後を見据えて必要なデータを蓄積できる環境を作っていくことこそ、データドリブン経営を実現するカギとなる。そのためには、システム構築の段階からFP&A組織が主導し、IT部門と緊密に連携しながら必要なデータ基盤を整えることが求められる。

FP&A人材はどう評価されるべき? 育成面での課題と解決の糸口
FP&A組織がビジネスパートナーとして機能するためには、組織的な仕掛けも不可欠だ。FP&A組織を日本企業で導入する際に大きな課題となりうるのが、FP&A担当者に対する役割や期待が経営層と事業部で異なることによって生じる「役割コンフリクト」である。事業部からは単なるデータ提出を求められ、経営層からは将来予測を求められる状況では、担当者が混乱し組織は適切に機能しづらい。
これを防ぐためには、経営トップがFP&Aの役割を明確に定義し、社内にオーソライズすることが解決の糸口となる。たとえば一部の先進的な企業では、FP&Aを“経営の羅針盤”と位置づけ、事業の可能性を引き出すためのパートナーであるという意識を社内に浸透させることで成功を収めているという。
一方で、FP&A組織が適切に評価される環境づくりも欠かせない。FP&A組織としての業績の評価方法やキャリアパスの明確化が極めて重要となる。この点について、目時氏は次のように述べる。
「事業に寄り添う機能と、全社的な仕組み作りに寄与する機能のどちらをFP&A組織の評価軸にするかは難しい問題で、専門家のなかでも議論が続いています。ただ一ついえるのは、専門職や将来のCFO候補といったキャリアプランを早期から提示することで、担当者の定着とモチベーションの向上を図れるということです」(目時氏)
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