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冨永裕子の「エンタープライズIT」アナリシス

BIツールはAIに吸収されるのか?存続するのか? ガートナーが2つの立場で議論した「BIの未来」

エージェンティックAIの台頭で「Analytics as Code」は現実のものに?

 AIが「ビジネスインテリジェンス(BI)」を置き換えるのか、あるいは変革するのか──ガートナージャパンが2026年5月に開催した「ガートナー データ&アナリティクスサミット」では、2人のアナリストによるディベートが行われた。本稿では、講演中に「AIがBIを吸収する」という意見を代表したジュリアン・サン(Julian Sun)氏に、テクノロジートレンドと企業の選択肢について聞いた。

「エージェンティックAI」でアナリティクスはどう変わったのか?

 講演では、ジュリアン・サン氏が「AIネイティブな未来(BIを吸収する)」、同僚のカート・シュレーゲル(Kurt Schlegel)氏は「BI主導のガバナンスの未来(BIは存続する)」という立場に分かれ、それぞれの意見を述べていた。

「AIネイティブな未来」vs「BI主導のガバナンスの未来」出典:Gartner(2026年5月)
「AIネイティブな未来」vs「BI主導のガバナンスの未来」
出典:Gartner(2026年5月)

 ガートナーは、成熟度モデルで「記述的アナリティクス」「診断的アナリティクス」「予測的アナリティクス」「処方的アナリティクス」の4つにアナリティクスを分類している。サン氏は、「これまでのBIツールは、主に最初の2つ『記述的アナリティクス』『診断的アナリティクス』の機能を提供してきたが、AIの登場で状況が変わった」と話す。予測的アナリティクスが容易になったことに加えて、オーケストレーションレイヤーの上で、3種類のアナリティクスを連携しながら実行できるようになった変化は大きいという。その結果として、4種類すべてのアナリティクスが実現できるようになった。今後、余地があるならば、オーケストレーション能力の向上であり、4つの連携がさらに進んでいくとする。

 その上で、アナリストがドラッグ&ドロップでダッシュボードを設計し、レポートを出力するBIの仕組みは、「コーディングエージェント」の登場によって大きく変わろうとしている。アナリストではなく、一般のビジネスユーザーが“ビジネスの言葉”でプロンプトを入力するだけで、コーディングエージェントを経由し、より複雑なダッシュボードが作れるようになったからだ。ビジネスユーザーにとっては、より多くのインサイトが得られ、それに基づく高度な意思決定が可能になった。

 さらに、アナリストのためのUIすら不要になろうとしている。私たちがイメージするUIを経由しなくとも、ビジネスユーザーがMCPサーバー経由でアナリティクスエンジンから直接的にインサイトを引き出せるようになったからだ。その結果、BIツールベンダーは、AIの能力を取り込むため、製品の再設計に取り組まなくてはならなくなった。TableauやMicrosoft Power BIのようなトップベンダーは、単なる“データを分析するだけの存在”にならないよう、ビジネスアプリケーションへ誘導し、ワークフローを実行するための能力を強化する方向にある。

次のページ
「AIがBIを吸収する」の意味するところ

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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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