BIツールはAIに吸収されるのか?存続するのか? ガートナーが2つの立場で議論した「BIの未来」
エージェンティックAIの台頭で「Analytics as Code」は現実のものに?
日本企業は、海外よりも保守的な傾向に
講演をディベート形式にした理由は、ガートナーが支援する組織内で、実際に意見の対立を見てきたことが背景にあったという。組織のマインドセットによって温度差があると同時に、国によっても異なる。同じディベートを東京に来る前、米・オーランドと英・ロンドンで行い、アプリでアンケートを集計した結果、オーランドの参加者で「AIがBIを吸収する」と考える人たちは全体の27%。ロンドンでも同程度の結果になった。そして、東京では15%程度の参加者が「AIがBIを吸収する」に手を挙げたという。「他国よりも保守的な傾向があると感じた」とサン氏は振り返った。
BIが存続する意見が優勢なのは、アナリティクスが長期的に投資を続けてきた領域であることも影響している。ある調査によれば、組織の約40%が2種類以上のBIツールを利用しており、それだけ浸透しているツールがどこまでAIに置き換わるのかは未知数だ。BIツールのコストは下がるように見えるが、リスクはそれ以上になる。小売業界では、AIから得たインサイトを基に誤った意思決定を実行し、2億ドルの損失が発生した事例も出てきた。一度でもAIの誤回答が原因で失敗すると、想像以上の悪影響が出る可能性がある。
サン氏は、「今のAIガバナンスは振り子の反対方向に振れている」と指摘すると、「D&Aにおけるガバナンスは後付けの論点だった。データの劣化やミスの発生など、問題が起きてから対策を講じていても間に合ったが、AIではそれが許されない」と述べ、ビジネス主導のガバナンスが必須になるとした。その中核を成すのが「AI評価」である。これは最初に望ましい姿を定義し、それに照らし合わせてAIを評価するものだ。たとえば、Snowflakeが開発した評価フレームワーク「Agent GPA(Goal、Planning、Action)」が挙げられる。
今回、講演ではディベート形式が採用されたが、2つの意見の優劣を競うことを意図したわけではない。自分たちの組織がどちらを目指すのか、今どこにいるのかを考えてもらうための機会を提供することが狙いだったとサン氏は話す。最終的には一つの方向性、「AIファーストと近代型BIがエージェント型アナリティクスへと融合する」ことになるとしても、企業それぞれでやるべきことは違う。自分たちが何を目標に、どのようなビジネス価値を得ようとしているかを理解するところから始めてほしい、とサン氏は語った。
出典:Gartner(2026年5月)
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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