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『EnterpriseZine Press』

2026年冬号(EnterpriseZine Press 2026 Winter)特集「AI時代こそ『攻めの経理・攻めのCFO』に転じる」

週刊DBオンライン 谷川耕一

インテルも強調、AI PCが台頭する必然性とは 脱・クラウド依存とエッジAIによるパラダイムシフト

爆発的に増加するトークンコスト、AI PCはスタンダードとなるか

クラウド依存できない経済的理由 爆発的に増加する「トークンコスト」

 インフラが進化している一方、企業が生成AIの活用を全社規模へ拡大しようとしたときに、必ず直面するのが「経済的な壁」だ。現在、多くの企業がクラウド経由で大規模言語モデル(LLM)を利用しているが、利用頻度が増えているだけでなく、扱うデータがマルチモーダル化するにつれて、従量課金であるトークンコストが急激に跳ね上がっている。

 そして、ビジネス現場におけるAIの活用は、人間がチャット形式で一問一答を行うような単純な利用から、AIが自律的に状況を判断して複雑なタスクを処理する「AIエージェント」の活用へとシフトしつつある。このAIエージェントが実業務のワークフローに組み込まれると、背景で動作するモデルは人間の見えないところで思考、計画、ツールの呼び出し、そして内省といったプロセスを繰り返し実行する。

 その結果、従来の単発的な問い合わせと比較して、消費するトークンの量はケースによっては桁違いに増え、最大1,000倍近くに達するとも指摘されている。既に米国では、成果を最大化しようと、従業員がAIエージェントに過剰なまでの自律処理を何度も回させる「Tokenmaxxing(トークンマキシング)」という現象がトレンドとなる一方、想定外のインフラコスト高騰に直面する企業も現れており、利便性の裏にあるコスト管理の重要性が浮き彫りになってきた。

 すべての処理をクラウドベースのLLMに依存しつづけた場合、この莫大なトークンコストは企業の財務を直接圧迫するだろう。加えて、ネットワーク帯域やデータ転送料といった周辺コストも無視できない水準に達する。この課題を解決するのが、タスクに特化した「小型言語モデル(SLM)」を手元のローカル環境、すなわちAI PC上で駆動させるアプローチだ。普段のオフィスワークで行われるようなドキュメントの要約、定型文の作成、あるいはデータ分析といった日常的なタスクを処理するエージェント機能であれば、必ずしもクラウド側の大規模モデルを動かす必要はない。

 日本HP エンタープライズ営業統括 営業戦略本部 本部長の松本英樹氏は、実際の企業が直面する運用課題について次のように指摘している。

 「クラウドのAIサービスに依存しすぎると、企業は膨大なトークン消費によるコスト高に直面する。音声の文字起こしや日常的な業務アシストなど、実はローカル環境の処理能力で完結できるものも少なくない。AI PCは、ネットワーク帯域やクラウド利用料を抑える、“節約ソリューション”としての側面ももっている」(松本氏)

 手元のNPUを最大限活用し、ローカル環境で効率的に推論処理を完結できれば、外部との通信費用やクラウドの利用料を大きく削減できる。つまり、AI PCを採用することは、単に最新のテクノロジーを導入するという意味合いだけでなく、爆発する運用コストを最適化し、持続可能なAI活用を実現するための極めて現実的な節約ソリューションともいえるだろう。

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1秒の遅延が生産性を左右する リアルタイムでの音声・画像処理、オフラインの価値とは

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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