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EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2026年冬号(EnterpriseZine Press 2026 Winter)特集「AI時代こそ『攻めの経理・攻めのCFO』に転じる」

NTT西日本の変革を支えたトップガンITアーキテクトの挑戦──専門性の深化から組織変革、そして次世代技術戦略へ

NTT西日本が生成AIの次に見据える「数理最適化」による変革 なぜ次世代の武器となり得るのか?

数理最適化のネイティブ化で切り拓く、日本の競争優位性

NTT西日本の事例から見えた、日本企業がとるべき針路 「数理最適化」のデファクトスタンダード化戦略

 先述した実案件での成功を踏まえ、私たちは数理最適化のデファクトスタンダード化を目指しています。ここからは、NTT西日本の事例をベースに日本企業が「数理最適化の時代」にどう向き合うべきか、その指針を示します。

 まず、具体的な戦略は以下の通りです。

  • 指針1:まずは、実案件で成功事例を作ること。さまざまな業種・業務での数理最適化適用の事例を作ることが第一歩です。営業活動の最適化、設備保全の最適化、エネルギー最適化などへの展開を計画しています
  • 指針2:人材育成とコミュニティ形成に投資すること。数理最適化を使いこなせる人材を増やすため、教育・研修プログラムを展開する必要があります。既に法政大学での講義、Udemyでのオンライン講座を通じて、数理最適化の普及に取り組んでいます。第3回でお伝えした500名規模の社内コミュニティの知見は、数理最適化の人材育成にもそのまま活きています
  • 指針3:産学官連携で社会実装を加速すること。大学、企業、行政が連携し、数理最適化の社会実装を加速する取り組みが重要です。自治体と連携した公共交通の最適化、災害時の避難計画最適化などに数理最適化を活用できる可能性は無限にあります。博士号を持ち、大学と企業の両方に身を置く立場だからこそ、この橋渡しができると考えています
  • 指針4:サービス化とオープン化で競争優位を築くこと。NTT西日本内での活用にとどまらず、数理最適化をサービス化し、他社にも提供する構想を描いています。また、一部のアルゴリズムやツールをオープンソース化することも検討しています。日本企業が数理最適化のデファクトスタンダードを確立できれば、グローバルでの技術的リーダーシップの確立につながります
[画像クリックで拡大]

 そして、最後に生成AIと数理最適化の関係について触れておきます。私は、生成AIを否定しているわけではありません。重要なことは、生成AIと数理最適化を適切に使い分け、融合させることです。

 たとえば、生成AIで候補を生成し、数理最適化で最適解を選択する。数理最適化で枠組みを決め、生成AIで詳細を肉付けする。生成AIで問題を整理し、数理最適化で解決する。といった組み合せが考えられます。生成AIと数理最適化は対立するものではなく、相互補完的な関係にあります。両方を使いこなせる企業こそが、次の時代の競争に勝ち残ります。

おわりに

 連載では、NTT西日本における、1つの変革ストーリーをお伝えしてきました。ジョブローテーションの伝統からあえて離れ、専門性を磨く決断をしたこと(第1回)。その専門性を武器に数十億円規模の成果を生み出し、NTT東西共同利用化という巨大組織の壁を突破したこと(第2回)。1人の成功を500名規模のコミュニティと牽引者育成を通じ、組織全体の力に変えたこと(第3回)。そして、生成AIの限界を超え、数理最適化という次世代の武器で未来を切り拓こうとしていること(本稿)。

 一貫して述べてきたことは、技術進化のスピードが劇的に加速し、「広く、深い専門性を持つ人材が求められる時代になった」ということです。私の使命は、自分自身が成果を出すだけでなく、次世代のトップガンを育成し、会社全体の技術力を底上げすることです。NTT西日本の事例が、読者の皆さまの組織における変革の一つの指針となれば幸いです。

 生成AIの次の時代、数理最適化の時代が、すぐそこまで来ています。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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この記事の著者

高須賀 将秀(タカスカ マサヒデ)

博士(情報学)。2012年に修士号を取得した後、NTT西日本株式会社に就職。プライベートクラウド基盤やアプリケーション開発を経験した後、様々な技術(NW、サーバ、クラウド、プログラミング)を組合せることで、データ活用を推進するためのプラットフォームを運営。2019年から社会人ドクターとして研究活動を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/24611 2026/07/08 08:00

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