「UI分離」から「AI駆動型自治体経営」へ 坂出市が見据える次の一手
──オンライン申請の画面づくりで、意識した点はありますか。
畔上 「UI分離」という考え方を重視しました。従来の申請書は、申請する住民と処理する職員の双方が使う前提で作られているため、情報量が多く分かりにくくなりがちです。坂出市では、住民が使う電子申請の画面と、職員が処理に使う画面を分けて設計しました。例えば戸籍関連の証明書には「改製原戸籍」という専門用語がありますが、職員はこれを「ハラコ」と呼び慣れています。住民にとってはなじみのない言葉なので、電子申請の画面ではこの用語を使わず「いつ頃の戸籍が必要か」という聞き方に置き換えています。
──生成AIの活用は、どこまで進んでいるのでしょうか。
畔上 文章作成や議事録の作成といったテキストベースの生成AI活用はすでに定着しています。一方で、AIエージェントに業務を代行させる段階には至っていません。庁内のネットワークは行政専用のLGWANという閉域網で運用されており、AIエージェントの多くはインターネット上でしか提供されていないため、セキュリティ面での環境整備が必要になります。2026年4月には、市長と副市長、CIO補佐官、部署横断で集まった職員7人からなる「DX推進プロジェクトチーム」を発足させ、業務プロセスの見直し(BPR)を軸に、AI・RPAの活用や窓口改革を組織的に検討する体制を整えました。電子申請についても、2025年12月時点で76の手続きに対応しており、決済が伴う手続きの一部では全国や四国で初めての取り組みも実現しています。
──今後、坂出市はどのような方向を目指しているのでしょうか。
畔上 人口が減れば職員数も減らさざるを得ない以上、事務作業をAIに置き換えていく流れは避けられないと考えています。早ければ5年、10年のうちに実現するという予測もあります。そのために今取り組むべきなのが「AI駆動型自治体経営」の準備です。職員一人ひとりの経験や勘に頼っている暗黙知を見える化し、整理しておくことが欠かせません。暗黙知に頼ったまま変化を避ける市役所であってはならないと思っています。ホームページはPRサイトではなく、住民のための手続き窓口である。この発想を庁内に広げていくことが、次の課題です。
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京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)
ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZine/AIdiverには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail ...
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