AI時代の神経系「ネットワーク」、それを守る「セキュリティ」──2つの融合が企業生存の必須条件になる
三菱電機グループやトヨタ自動車が実践するAIセキュリティ/レジリエンス施策も明かされる
トヨタ自動車が全社を巻き込んで進めるセキュリティの文化醸成
次に登壇したのは、トヨタ自動車で情報セキュリティ・トラスト部長を務める寺澤知昭氏だ。同社では2022年頃、従来型の境界防御に限界を感じ、単に守るだけでなく以下3つのアプローチ実装に向けたアクションを定義した。
- 初期侵入に対して「止める」
- 侵入されても「横展開させない(&しにくい構造にする)」
- 発生したインシデントを確実に「元に戻す(復旧する)」
当時は、日本企業や製造業全体でミスが許されない文化・風土がより強く残っていた。そんな中で、より便利で快適、かつ低コストなインフラを構築せねばならず、モダナイゼーションの必要性に迫られていたという。最終的には、約4年強の歳月をかけて以下のアーキテクチャ変更が進められた。
- 認証・権限の統一とアクセス管理の厳格化:当時は業務アプリケーションが1,000以上、利用企業も約1,000社あり、個別に構築された認証システムが乱立していたが、事業部門との対話を重ねつつ認証の統合、権限の統一、アクセス管理を徹底的に進めた
- 運用の重いインフラをクラウド移行:認証統合に続き、保守や管理に多大な時間を要するインフラ群をクラウドへ移行させた
- 脱VPNの断行:当時から、VPNの脆弱性を突く攻撃が増加していたため、まだその深刻さがあまり認知されていない頃から計画的にVPN廃止を進めた
加えて、IT-BCPの整備や体制構築にも注力している。インシデント発生から完全復旧宣言に至るまで、「絶対にIT部門だけで進めない」体制を構築しているようだ。IT部門だけで事業を元に戻すことは現実的に不可能なため、経営層と事業部門を巻き込んだトップダウンの体制を作る。そして復旧プロセスでは、IT以外の部門が尽力すべき領域を定義し、IT部門はそれぞれの部門に寄り添いながらBCP整備や訓練のサポートを行うパートナーとしての役割を明確化したという。
寺澤氏は、流行りのツールを部分的に導入して満足する「戦略なき対策」や、自己点検だけで終わる「形だけの対策」を防ぐため、以下のサイクルと組織文化を重視して、今後も戦略的なセキュリティ対策を実践していくと述べた。
【サイクル】リスクマネジメントの基本サイクルへの準拠
①敵(攻撃者)を知る、②事業とITのリスクを洗い出す、③ガバナンス(対応計画)、④コントロール(技術対策・実行)、⑤監査・チェックという全社的なリスク管理のステップに沿って対策を回し続ける。
【組織文化】経営層による「実務者の背中を押す」文化の醸成
実務者が勇気をもってインフラ刷新などの困難な挑戦に踏み出せるよう、経営層は「何を言っているかわからない」と切り捨てずに耳を傾け、背中を押し続ける。この文化が、将来的なサイバーレジリエンスの向上につながる。
盛りだくさんな基調講演が終わると、会場の参加者たちは同日に展開された様々な技術セッションや分科会に足を運び、各々のセキュリティ対策やインフラ刷新に役立つ知見を持ち帰った。まずは、自社が守りたいもの、セキュリティの先に見据えるビジョンや目標を定めよう、戦略なき対策に走ってしまわないために。
その次に、目標を達成するためにどんな技術が必要なのか、どのような体制を築くべきなのか、施策のロードマップを描いていこう。皆さんの組織で最初に必要な施策は何だろうか。ゼロトラスト移行か、IT・OT資産の可視化・制御か、シャドーAIの統制か。また、セキュリティ運用をAIで自動化・自律化すれば、新たな施策や取り組みの糸口をつかめるだろうか。あるいは、運用のサイロ化を解消するのが先だろうか……。フォーティネットは、そのすべてに対する答えを持っている。
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名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)
サイバーセキュリティとAI(人工知能)関連を中心に、ソフトウェア/ハードウェアを問わず国内・海外の最新技術やルールメイキング動向を取材。そのほか、DX推進、企業財務・IRなどのコーポレート領域でも情報を発信。武蔵大学 経済学部 経済学科 卒業。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
提供:フォーティネットジャパン合同会社
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