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IIBA・Social Value Lab・PMIが語るAI時代の「変革人材」の再定義

BABOK・匠Method・CPMAI・PMBOKをめぐって

 DXの号令は上から下りてくる。だが現場ではPoC(概念実証)で止まり、成果に届かない。2026年7月25日、IIBA日本支部、Social Value Lab、PMI日本支部関西ブランチの3団体が、この手詰まりをテーマに、大阪・マイドームおおさかでイベント「未来の社会・ビジネス価値を描くための『変革』と『共創』のあり方」を開いた。課題を見極める、価値を描く、確実に届ける。3つの役割を各団体が分担して語った。

課題・価値・実行を3団体で分ける

IIBA日本支部 理事 塩田宏治氏(クリエビジョン 代表取締役)/Social Value Lab 代表 匠Business Place 代表取締役会長 萩本順三氏/PMI日本支部関西ブランチ ナレッジナッジ合同会社 代表 大西徹氏

 このイベントに登壇したのは、IIBA日本支部理事の塩田宏治氏、Social Value Lab代表で匠Business Place代表取締役会長の萩本順三氏、PMI日本支部関西ブランチ ナレッジナッジ代表の大西徹氏の3氏。それぞれの発表の後は3氏によるパネルディスカッションで、ファシリテーターは伊達渡氏(PMI日本支部関西ブランチ)が務めた。

 IIBA(International Institute of Business Analysis)は、ビジネスアナリシスの知識体系「BABOK(Business Analysis Body of Knowledge)」を出す非営利団体だ。2003年に生まれ、本部はカナダのトロント。会員は30,000名を上回る。

 PMI日本支部は1998年に「PMI東京支部」として発足し、2009年に一般社団法人となった。関西ブランチは同じ年に、国内初のブランチとして立ち上がっている。

 Social Value Labは、社会の価値を高める「ソーシャルバリュー」を共に生み出すことを掲げる非営利団体である。

 「新しい価値を生み出して成功させるには、手順やエコシステムが必要です」。オープニングで司会を務めたPMI日本支部 関西ブランチの秋山肇氏はそう語った。課題をはっきりさせるIIBA、価値をデザインするSocial Value Lab、プロジェクトとして着地させるPMI。変革に必要な「課題・価値・実行」をこの3つの団体が掘り下げるというのが、この日のイベントの構成である。

経産省・IPAとIIBAが考えるビジネス変革人材

 セッション1のテーマは「経産省・IPAとIIBAが考えるビジネス変革人材」。塩田氏は経済産業省/IPA(情報処理推進機構)の「ビジネスアーキテクチャ人材の育成に関するタスクフォース」の委員も務める。

 デジタルトランスフォーメーションは技術の話ではない。中身はビジネスを変えることだ。そう確認したうえで、塩田氏は業務のやり方を大きく変える難しさをサプライチェーンで説明した。

 たとえば、地域ごとに需要を予測して計画を立て、本社が集めるだけだったやり方を、世界中の情報を集めて中央で一気に計画する形に切り替える。「業務のやり方も役割モデルも全然変わってきます。従来存在した仕事がなくなるなど様々な影響が生じます」。

 難しさの理由として、塩田氏は「複数の部門にまたがること、描いた将来像が正しいのか確信が持てないこと、立場と立場がぶつかること」の3つを挙げた。

 「たとえば、カスタマーサービス部門が“車にセンサーを搭載し、集めたデータをもとに最適な整備を提案する”ような新しいサービスを始めたいとします。しかし、このアイデアを実現するには、車そのものに新しい仕組みを組み込む必要があるため、モノづくり部門との連携が不可欠です。つまり、これまで一緒に仕事をしたことのない他部門のステークホルダーたちとも、同じプロジェクトで協力しなければならなくなる、というわけです」。

従来のチェンジプロジェクトとビジネストランスフォーメーションの違い(IIBA日本支部 塩田宏治氏の講演資料より) [画像クリックで拡大]

「ビジネスアーキテクト」は3つに分かれた

 こうした難しさを引き受ける役割が、経産省・IPAの「デジタルスキル標準」ver.2.0が定める「ビジネスアーキテクト」だ。ver.2.0では、この人材が3つに分けられた。

 狭い意味でのビジネスアーキテクトは、戦略に近いところで動く。どんなプロジェクトを立ち上げれば戦略が実行できるのかを組み立て、予算の裏付けまで取りにいく。

 プロダクトマネージャーは、個々のプロジェクトに最後まで責任を持つ。作って終わりではなく、ねらった成果が出るところまでが担当範囲だ。ビジネスアナリストはこの2つを支え、企画や要件定義、そのソリューションでよいのかという見極めを受け持つ。

 塩田氏が力を込めたのは、これら3つの役割がビジネス側と開発側の「あいだ」にいることだった。最終的な意思決定の権限を持たないままステークホルダと共同オーナーシップを持ち、両者をつないで変革を前に進める。それが期待される立ち位置だという。

 BABOKは、3つの役割に共通する土台として位置付けられる。誰のどんなニーズを、どんな背景で、どう解決し、どんな価値が生まれるのか。それをはっきりさせる体系だ。

ビジネスアーキテクト、ビジネスアナリスト、プロダクトマネージャーの役割の違い(同) [画像クリックで拡大]

 生成AIは要件定義の下書きまで書く。要求を文書にまとめる仕事は減っていく、と塩田氏は見る。IIBAの中では、上流の意思決定を支える側へ上がるという議論があり、「ディシジョンアーキテクト」という呼び名も出ている。

 人間が残る理由を、氏はこう語った。「AIはすべてのコンテキスト情報を持っていない。現場での人間の関係性を生成AIは分かっていないので、最適解を見つけるには人間が最終的に意思決定をやっていく必要がある」

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「知」に偏った日本に、「情」と「意」を取り戻す

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京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZine/AIdiverには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail ...

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