IBMはITがビジネスに貢献するには、サービス・マネジメントがポイントになると強調してきた。それはクラウド時代に入っても同様であり、システムが見えなくなる仮想化により、その重要性はさらに増していくことは間違いない。そうした流れに沿い、IBMのTivoliも運用管理ツール群から、サービス・マネジメントのためのプラットフォームへと進化してきた。ここでは、IBMが考えるクラウド適用のステップと、それぞれのニーズに対応したTivoli の例をご紹介する。
コンピューティング環境の発展とともに進化してきたTivoli
IBMは1996年、強力な運用管理ツールを自社ブランドに組み入れて提供するため、Tivoli Systems を買収した。クライアント・サーバーモデルの本格普及時代に入っていた当時、Tivoliは主にサーバーやネットワークなど、コンポーネント単位でIT リソースを管理するために導入されていた。
その後、インターネットが急速に普及すると、e-Businessアプリケーションの管理が求められるようになる。さらにオンデマンド環境の時代に入ると、ITが自律的に自己管理を行うオートノミック・コンピューティングのソリューションが有効となっていった。
IBMでは、それらのニーズに先駆け、Tivoliを進化させてきた。特に2003年のオートノミックは、現在大きなテーマとなっているシステム運用管理の自動化、オーケストレーションの先駆けといえる。さらにIBMは、ITがビジネスの成功に貢献するためには、旧来的なシステム運用管理だけでは不足で、ITをユーザーにサービスとして届けることが必要であると考えていた。そこで求められるのがITサービス・マネジメントであり、Tivoliもそのためのプラットフォームとして整備してきた。
その方向性はクラウド・コンピューティングの時代に入っても同様で、求められるITサービス・マネジメント自体に基本的な変化はない。見ていかなくてはならないのは、どのようなレベルでエンドユーザーにITサービスを提供するかである。
さらにIBMは2009 年、Smarter Planet というコーポレートビジョンを提唱した。これは環境、エネルギー、食の安全など、地球規模の課題をITの活用により解決し、地球をより賢く、よりスマートにしていくというものだ。一番の目的は、地球上にある無駄や非効率、リスクをいかにしてテクノロジーで排除し、より豊かな世界を実現することにある。
IBMがSmarter Planet 構想を打ち出した背景には、インターネットの普及などにより、水資源やエネルギーなどの監視センサーにIPアドレスが振られるようになってきたことがある。そこではデータセンターの中で確立してきたサービス・マネジメントのノウハウやソリューションを役立てることが可能であり、その提供が我々Tivoli事業部のIBMの中での役割ということになる。(次ページへ続く)
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荒川 朋美(あらかわ ともみ)
日本アイ・ビー・エム株式会社
ソフトウェア事業
Tivoli事業部
理事 事業部長※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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斎藤 智宏(さいとう ともひろ)
日本アイ・ビー・エム株式会社
ソフトウェア事業
Tivoli事業部
第二クライアント・テクニカル・
プロフェッショナルズ
部長※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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