ファイナンスに求められるのは「スピード」:意思決定をリアルタイムに近づけるSAPの“新EPM”
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「自動化されていないコンプライアンス対応」に切り込む
Autonomous Performance Management、SAP Payに続く3つ目の発表が、AIエージェントをGRC(ガバナンス、リスク、コンプライアンス)プロセスに組み込んだ「GRC Agentic Workforce」である。ある調査によれば、コンプライアンス対応をリアルタイムに可視化できている企業は2割程度で、担当者の時間の6割以上は自動化されていない。多くの企業がGRCプロセスの分断という問題を抱えている。この問題へのSAPのアプローチは、3つのAIエージェントで「継続的なモニタリング」「エンドツーエンドの可視性」「リアルタイムインサイト」を提供することにある。
図3:GRC Agentic Workforce(出典:SAP)
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GRCプロセスを支える中核的AIエージェント「Governance Assistant」では、2つの新しいスキルを強化した。1つは「GRC Signal Analysis Agent」で、システム全般の監視から不審な兆候を発見すると、その内容を理解し、意思決定の推奨事項を提案するもの。もう1つはGRC Signal Remediation Agentで、実行とその結果から学習を通して、フィードバックループを完結させる役割を担うものになる。
たとえば、職務分掌(SoD)における競合に関するアラートを検知したとする。ここでJouleは、ユーザーに与えられている権限を調べる代わりに、実際に何が行われたかを調べるDid-Do分析を実行。その結果、支払いを起票したユーザーが承認もしていたとわかった。この結果は、不正リスクが非常に高いことを示している。この結果を見て、コンプライアンスマネージャーは、アクセス権の削除、支払いのレビュー、監査文書の作成などを実行できる。
このようなインテリジェンスで強化されたGovernance Assistantは、コンプライアンスマネージャーが必要とするリアルタイムインサイトを提供してくれるだけでなく、リスクの特定から、調査、意思決定、是正、文書化までのプロセスの実行時間を大幅に短縮してくれるものだ。ERPの機能でも実現可能に見えるが、インバート氏によれば3つの違いがあるという。
まず、ビジネスコンテキストを理解したJouleが、Did-Do分析のノイズを大幅に減らせること。次に、リスクをシステム上でリアルタイムにかつ定量的に可視化できること。そして、是正措置を即座に講じることができることだ。
SoD以外にも、Governance Assistantは多くのユースケースをサポートできるという。また、Governance Assistantは、内部統制のようなGRCの中核的プロセスもカバーしている。さらに、アクセスガバナンスやセキュリティのような重要領域はAccess Governance and Security Assistantが、内部取引のプロセスはInternal Trade Assistantがカバーしている。
AIは成長と変革のための素晴らしい機会を生み出すが、SAPはAIだけに注力しているわけではない。アプリケーションそのもののコア機能の強化、統合、コンプライアンス対応の強化を続けている。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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