お宅のセキュリティホール、ちゃんと野生動物が通れますか?
「セキュリティホールは、人の形をしている。
これは、もちろん、「人」という字の形をしているという
意味ではない。人間には大きな突起が5つあるのだから、
象形文字でいうなら「大」の字のような形であるということだ。
ごくまれに「犬」という字のような形のセキュリティホールも
存在するが、なんとなく無視されている。理由はわからない。
セキュリティホールには、2つから4つの頭があるとされる。
つまり、あの「大」の字に似た形の、放射状に延びた
5つの線の、2つから4つまでは頭部を象った線であると
いうことだ。残りの線は、尻尾または盲腸とされる。
ここで皆さんは疑問におもうかもしれない。
そんな姿の人が本当にいるのだろうか?
そんな姿の人がいるとして、我々はうまく意思の疎通が
できるのだろうか? どれとどれを振るのが挨拶なのだろうか?
セキュリティホールは、人の形をしている。
人というのは、ご存じのとおり、人類のことだ。
絶滅したとも、我々の祖先であるとも、想像上の存在で
あるともいわれる人類の、正しい姿形を我々は知らない。
あらゆるセキュリティホールが人の形をしているのだという。
そして、セキュリティホールはどんな形にもなりうるという。
これが正しいなら、人はどんな形にもなりうるのだと言える。
セキュリティホールは、よくないものであり、
けがれたものであると考えられてきたらしい。
セキュリティホールを清めるためには、
セキュリティホールと同じ形の人をそこにはめ込む必要がある、
そのように昔から信じられてきたようだ。
人は様々なレベルで自己改造を行い、さらにポーズなども工夫して
みずからセキュリティホールに身を投じ、世界を少しずつ
浄化していったのだと考えられている。
セキュリティホールは、かつて人の形をしていた。
かつて、セキュリティホールというものがあった。
現在、セキュリティホールも人も、どこにも存在しない。
それでもなお、セキュリティホールの脅威は
いまにいたるまで連綿と語り継がれ、存在感をアピールし続けている。
人類がついに塞げなかった巨大なセキュリティホールがあり、
そこを通り抜けてやってきたのが我々であるという説に
ついては、次回の講義で説明する。本日はここまで」