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お困り日誌

#053 未来の世界の下戸型ロボット、胃の内容物を超テクノロジーで再現


未来の世界の下戸型ロボット、胃の内容物を超テクノロジーで再現


えー、ロボットと一口に言いましてもいろんなロボットが
いるわけでございまして、映画とかアニメとは違って、
だいたいは人の形をしてないものでございますね。
だもんだからわざわざ人型ロボットと、まあそんなふうに
呼ばなきゃいけなかったりするわけでございますけども、
まあだいぶ人間らしくなってきたとはいいましても
まだまだ人間をだませるほどじゃあないんですね。
不気味の谷なんてよくいいますけど、まあ不自然なんですよ。
もう動きなんかカクカクしちゃってね、
やっぱり本当に人間そっくりなロボットというと、
ターミネーターじゃないですけど、
未来から来てもらわないと目にかかれないっていう、
そういうもんなんじゃないかと思うわけなんですね。

えー、
そんなわけでこの、未来の世界の人型ロボットという話ですけども、
未来の世界で作られてるんで、当然未来の人類とそっくりに
作ってあるわけですよね。この未来の人類っていうのがもう
いまの人類とぜんぜん違う姿になってるなんていうことは
充分ありえますからね、未来からきました! 人型です!
って言ってんのに足が5本あるとかね、
そういうこともありうるわけですよ。
来るなりこっちの姿みてプッて吹き出しちゃったりしてね、
えー足が2本とかありえへーん、みたいなね、あ、
たぶん未来の関西方面から来てるんでしょうね、
人型っていうか関西人型なんですよね、足は5本ですけど。
これが関東人だと4.5本しかないからすごく関西人に
ばかにされるんですよ。その0.5ってなに? みたいな、
こう、「に」のほうにアクセントがくる感じでね、
まあ実際0.5本っていうのはもうほんとに見た目が
かっこわるくて、もう未来の東京ってぜんぜんオシャレな
場所じゃなくなってるんですね。なにがいけないって、
やっぱり戦争がいけなかった。もうたいてい戦争がいけない。
戦争はほんとによくないってなことをしきりに言うもんだから
あれですか、戦争を防ぐために未来からきたんですかって
聞いてみたら、いえ観光ですって、秋葉原どこですかって、
まあそういうところは未来から来んのも外国から来んのも
ぜんぜん違いはないっていう、まあそういう話なんですけどね、

えー、さて、未来の世界の人型ロボットがなにを動力源にして
動いてるのかっていうね、
そういう疑問がみなさんもおありかと思うんですけれどもね、
原子力だったらどうしようみたいなね、中にちっちゃい原子炉
積んでて、こう、ウサギのフンみたいな粒状のものを
定期的にポロポロ落としてくから何だいそれって聞いたら
使用済みの核燃料だよなんつって、おいおい冗談じゃないよ、
放射能でみんな死んじまうじゃないかって言ったら
未来の人間はみんな放射能なんかへっちゃらだよって、
お前そりゃ禁煙席でタバコ吸いだして、あ、ぼくはタバコ
平気ですからっていうみたいなもんじゃねえかって、
まあ当然こちらとしては怒るわけですけども、
じゃあ未来の人間はなにが弱点なんだってきいたら
ブラックホールには勝てないっていうんですね。
あれは宇宙でいちばん強いと。
これで話おわっちゃうんですね。膨らませようがない。
ブラックホールだけに。あっまだ帰らないでくださいね
まだちょっと続きがありますんで

いったい未来ってのはどうなってんだと、
なんかね、あんたみたいなおかしなかっこのがゾロゾロしてて
放射性廃棄物ばらまいて、どういう世界なんだと、
まあそりゃ聞きたい気持ちはありますけど、そうそう簡単に
聞けるもんじゃないですよ。
あ、いまふと思い出したけど来年きみの国で100万人死ぬよ、
とかサラリと言われた日にゃどうしようかって話ですよ。
人類3回滅亡したよ、とかね、じゃああんたは何なんだっていう、
よく聞いてみたら昆虫の子孫でしたとかね、
あんまりこう、未来からいろいろ来たりとかね、いろいろ
物騒なんでできればしてほしくないっていうね、まああまりにも
身も蓋もない結論がでちゃったところで、本日は……
お客さんもちょっとロボットみたいな顔してるよね
目がふたつあってね
鼻はなくてね
うん
 

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この記事の著者

倉田 タカシ(クラタ タカシ)

「ネタもコードも書く絵描き」として、イラストレーション、マンガ、文筆業、ウェブ制作、Adobe Illustratorの自動処理スクリプト作成など、多方面で活動。
イラストの他に読み札も手がけた「セキュリティいろはかるた」はSEショップより発売中。
河出文庫「NOVA2-書き下ろし日本SFコレクション」...

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