e-ディスカバリー法とは、米国に民事訴訟における証拠開示手続きのうち、電子データに関する情報についての法律である。本連載では5回にわたり、ポイントを絞って、e-ディスカバリーについて解説していく。
e-ディスカバリー法とは、電子情報の証拠開示手続き
米国の裁判では、公正な審理を進めるため、裁判に必要な証拠について、原告、被告ともに可能な限りお互いに公開する手続きが重視される。ここで、証拠の開示が十分でなかったり、意図的に開示しない情報が存在すると、制裁的な判決を出されることもある。情報を開示しない、隠そうとすることは、不正や犯罪の事実があるからと判断され、他の証拠が裁判に有利なものであっても、裁判に負けることもある。
これは、たとえ悪意がなく、単に情報管理の問題で必要な証拠が提出できなかったとしても、同じようにマイナスに評価される。具体的には、提出した証拠がすべて却下され、相手側の証拠だけで裁判を争わなければならなかったり、相手の弁護士費用を負担させられたりすることもあるようだ。
さまざまな情報が電子化されるにつれ、この証拠開示手続きは必然的に電子データにも及ぶようになってきたので、アメリカ連邦政府は2006年12月に、連邦民事訴訟規則に電子情報に関する規定を追加・整備した。これを一般には「e-ディスカバリー法」と呼んでいる。
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中尾 真二(ナカオ シンジ)
フリーランスのライター、エディター。
アスキーの書籍編集から始り、翻訳や執筆、取材などを紙、ウェブを問わずこなす。IT系が多いが、たまに自動車関連の媒体で執筆することもある。インターネット(とは言わなかったが)はUUCPのころから使っている。※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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