富士通株式会社とマイクロソフトコーポレーションは、マイクロソフトのクラウド基盤であるWindows Azureを活用したパブリック・クラウドサービス「Fujitsu Global Cloud Platform FGCP/A5 Powered by Windows Azure(以下、FGCP/A5)」を、2011年8月1日より富士通の国内のデータセンターから提供開始すると発表した。
同サービスは、2010年7月に両社が合意した戦略的協業に基づく具体的な成果の第一弾。マイクロソフトが提供する「Windows Azure platform appliance」と、富士通のサーバーやストレージなどのハードウェアとを組み合わせた富士通のパブリック・クラウドサービスで、富士通の日本国内のデータセンターから提供する。
同サービスにより、Windowsアーキテクチャーで稼働するユーザーの業務アプリケーションの短期間でのクラウドへの移行や、移行後の拡張が低コストで可能となり、システムの運用負荷を大幅に軽減できるとしている。
都内で開催した記者会見で、富士通の執行役員常務 工藤義一氏は、「FGCP/A5」の特徴として、(1)日本国内のデータセンターで提供する唯一のWindows Azure提供拠点、(2)堅牢なファシリティや日本の商習慣および各種法令に対応した国内データセンターという安心感と信頼性、(3)システム監視、バックアップ、24時間日本語サポートなど充実した運用機能・高品質なサポート、(4)顧客自身による開発を可能にする豊富な機能といったセルフサービスを挙げた。
同サービスの商談状況として、「大手企業を中心に、すでに約100社からサービス導入を検討いただいている状況」と工藤氏は語る。今後、日本市場を皮切りに米国、欧州、アジアなどにグローバル展開していくとともに、「Windows Azure platform」技術者の育成を進め、「FGCP/A5」の提供を通じて、SIビジネスにおけるSE体制を強化していく予定だ。
また、日本マイクロソフトの代表取締役 社長の樋口泰行氏は、「マイクロソフトはプラットフォームを提供する会社であり、クラウド時代においてもパートナーシップは基本。日本市場特有のニーズを把握するとともに、国内のデータセンターを希望される顧客に対しては、マイクロソフトが提供するWindows Azure platformに加えて、FGCP/A5を選択肢として提案していく」と語る。
樋口氏は、今回の富士通との協業の意義として、(1)日本の顧客の要件に応える高品質なクラウドサービスの提供、(2)富士通の豊富なシステム構築実績や顧客とのネットワークを活用し、Windows Azureビジネスを拡大、(3)共同プロジェクトでの経験を今後のWindows Azure開発に活用していくことなどを挙げた。
マイクロソフトと富士通は、テクニカル、マーケティング両面で両社の提携を強化し、先行者のメリットを活かし、日本のクラウド市場の開拓を狙う。