Windows Phoneの巻き返し戦略
4人目に登壇したのはWindows PhoneビジネスのプレジデントであるAndy Lees氏。スマートフォンでは明らかにiPhoneやAndroid端末に遅れを取っているMicrosoftだが、今後、クラウドビジネスと絡めてどう巻き返しを図るのかに注目が集まっている。
Lees氏は「MicrosoftはなぜiOSのようなタブレットOSを出さないのか、Windows PhoneのOSを搭載したタブレットは出ないのか」という質問をよく受けるという。この質問に対しLee氏は「それはMicrosoftの戦略とは異なる。我々はタブレットはPCだとみなしている」とする。つまりPCに搭載するのはWindowsであり、タブレットOSをわざわざ作る必要はないということになる。
「我々が目指すのはPC、電話、Xbox(TV)、そのいずれのデバイスでも一貫性と統一性をもたせることだ」
― 搭載されているOS自体は異なっても、Microsoftプラットフォームである限り、同じエクスペリエンスをユーザに届けること、この考えが同社の開発の根底にある。
"デスクトップと同じエクスペリエンス"にこだわるWindows Phoneだが、その独特の"タイルUI"はやはり目を引く。このタイルにはアプリケーションではなく、"機能"が割り当てられているのが特徴だ。その中でもよく引き合いに出されるのが「People」というタイルだろう。まずコンタクトしたい人を選び、次にその人と連絡できるサービス(メール、Facebook、Twitter、LinkedIn)が表示される。Windows Phoneはソーシャルネットワーキングサービスへのアクセスのしやすさを謳い文句にしているが、Peopleはそれを具現化した機能だといえる。
「電話をビジネスとコンシューマに分ける必要はない。どちらでも使えるのがWindows Phone」(Lees氏)というだけあり、ビジネスのニーズにも十分に応えられることを強調する。Officeの搭載はもちろん、Office 365やオンラインストレージのSkyDriveなどとも強力に連携できるのは、やはりMicrosoft製品ならではのメリットだろう。今後は同社のクラウドソリューションと密接に連携したサービスの提供が期待できそうだ。対応アプリケーションの数も急激に増えてきており、現在、2万2,000を超えるアプリケーションがある。Lees氏は「これほど急激に伸びているスマートフォンはほかにない。すでにBlackBerryを抜いている」とし、さらなるシェア増にむけて、エコシステムの拡大をパートナーに訴えた。
秋にリリース予定の次期バージョン「Mango(コードネーム)」に関しては、とくに新しいアナウンスはなかったが、端末メーカーの1社として富士通の名前が上がり、日本での展開も準備中であることが伺える。