Azure、Office 365、Dynamics、Windows Phone/部門トップがコミットするMicrosoftのクラウド戦略/WPC 2011レポート
2012年度はパートナーとともにクラウドを売っていく - Steve Ballmer CEOの力強いコミットメントで始まったMicrosoftの2012年度。米ロサンゼルスで開催中の「2011 Microsoft Worldwide Partner Conference (以下、WPC 2011)」では、7月12日(現地時間)に行われた2日目の基調講演で、同社のクラウドビジネスを支えるいくつかの重要な製品のアップデートが各部門のトップより発表された。本稿ではそれらを紹介しながら、Microsoftが言うところの「クラウドモメンタム」が指している方向性を探ってみたい。
最大の強みはフレキシビリティ/Windows Azureプラットフォーム
2日目の基調講演のトップバッターはサーバ/ツール部門のプレジデントを務めるSatya Nadella氏。Windows ServerやSQL Server、Windows AzureなどMicrsoftのクラウドプラットフォームの根幹となるソリューション全般を統括するエグゼクティブだ。
同氏はまず、2つの大きな製品アップデートの発表を行った。システム運用管理製品の「System Center Orchestrator 2012」の10月リリース、そして次期SQL Serverの「Denali(コードネーム)」の新テクノロジプレビュー版であるCTP3の公開だ。

System Center Orchestratorは旧System Centerの後継製品で、System Center Orchestrator 2012がはじめてのリリースとなる。2009年にMicrosoftが買収したOpalis社のソフトウェア「Orchestrator」のアーキテクチャを統合、Windows Server 2008および2008 R2上で動作し、パブリッククラウドとプライベートクラウドをまたがってアプリケーションを管理することができる。Nadella氏はこの新バージョンについて、「アプリケーション管理のすべてが凝縮されている製品」と自信を見せる。
Denali CTP3はすでにダウンロードが可能になっている。Microsoftが強調するDenaliの特徴は、SilverlightをUIに使ったBI分析の可視化機能だ。「小さいものから大きなものまで、ありとあらゆるデータが企業内に散在している。そして企業で働く人の72%がデータを分析に活かせていない。つまりデータからインサイトを得られていない状態にある。"Really Beautiful Insight" - SQL Serverの次のバージョンであるDenaliがこの状況を変えるブレークスルーとなる」(Nadella氏)
なお、Microsoftは同日、Windows Server 2008 R2 SP1もリリースしたほか、次のWindows Serverのコードネームが「Windows Server 8」であることも発表している。Windows Server 8についてはデスクトップのWindows 8と同様、9月の同社イベント「BUILD」で詳細が明らかになるようだ。
また、パートナー各社が開発したAzure上で動作するクラウドアプリケーションやサービスを提供するマーケットプレイス「Windows Azure Marketplace」についても紹介が行われた。現時点で570を超えるプロダクトが提供されており、うちアプリケーションは450に上る。このマーケットプレイスは現在米国のみで展開されているが、順次、日本を含む各国でも提供が開始されることになっている。
Nadella氏は「Amazon Web Services(AWS)からAzureへ移行する事例や、AWSやGoogleと比較した上でAzureが選ばれるケースが増えてきた」とし、その一例としてBoeing社のAzure採用事例を紹介、「オンプレミスとクラウドのエラスティックな融合が、競合プラットフォームに比べてはるかにすぐれているという評価を得た」と語る。Azureの最大の強みはフレキシビリティというのは同社のトップがつねに強調するポイントである。
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
五味明子(ゴミ アキコ)
IT系出版社で編集者としてキャリアを積んだのち、2011年からフリーランスライターとして活動中。フィールドワークはオープンソース、クラウドコンピューティング、データアナリティクスなどエンタープライズITが中心で海外カンファレンスの取材が多い。
Twitter(@g3akk)や自身のブログでITニュース...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア