竹中工務店が設計段階から参加
今回発売される製品は、水冷方式を採用した20フィートのコンテナ型データセンター「HP POD 20c」。最大500U(50U×10ラック)分のITシステムがあらかじめ搭載された、ラックあたり29kwの電力使用効率を実現する超高密モジュラー型のコンテナで、これらを稼働させるために必要な通電/冷却設備も同梱されている。つまり、ITとファシリティが最初からパッケージングされた形態のデータセンターだ。
最大の特徴は、従来の建屋型データセンターに比較して大幅に短い期間でデータセンターを構築できる点にある。
設計から施工まで通常、24 - 36カ月を要する建屋型に対し、HP PODは最短6カ月で構築可能、コンテナ単体であれば「3カ月で提供が可能」(日本HP エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバーマーケティング統括本部 インダストリースタンダードサーバー製品本部 サービスプロバイダー&HPCビジネス市場開発 中井大士氏)というスピーディさを誇る。
この迅速な構築を実現しているのが、日本最大級のゼネコン企業である竹中工務店とのタッグだ。
狭い国土でありながら、地震などの天災による被害を受けやすいという日本特有の事情を熟知した竹中工務店が、データセンターの施工だけではなく設計段階から参加することで、「ITとファシリティの検討の分断による手待ち/手戻りというムダを削減」(竹中工務店 エンジニアリング本部 データセンター推進グループリーダー 後神洋介氏)できるというメリットは大きい。設計/施工を一気通貫で行うことを是とする竹中工務店だからこそ実現した協業だといえる。
HP PODは「人間が中に入って作業することを前提としていない」タイプのコンテナで、外部の環境に依存しない水冷方式を採用しているのも大きな特徴のひとつだ。
「外気の温度に左右されることなく、安定した電力効率で稼働できるのが水冷方式のメリット。また、コンテナ内では冷たい空気(コールドアイル)と熱い空気(ホットアイル)の通り道をきっちり分けるように設計されている」(中井氏)