SOAベースのイメージングプラットフォーム
協業の第一弾として、双方の技術を組み込んだ「SOAベースのイメージングプラットフォーム」(名称未定)を開発し、2012年1月には国内販売を、2012年上半期には米国での販売をそれぞれ開始する予定となっている。同プラットフォームによりキヤノンの複合機「imageRunner ADVANCE」などのイメージング機器と、ERPやCRMといったIT業務システムをBPELエンジンをベースにしたSOAプラットフォームで連携、業務と一貫したワークフローが実現し、大幅な業務効率の改善が期待できるとしている。
イメージとしては、プリンタや複合機など紙への出力がメインだったデバイスを、あらかじめ用意されたSOA対応の外部アダプタでBPELエンジンに接続するというもの。ERPやCRMなどの社内業務システムも同様に外部アダプタでBPELエンジンにつなぐ。つまりBPELを仲介にして、イメージングシステムと業務システムをノンプログラミングで連携させることが可能になる。
外部アダプタとBPELエンジンの間にあるのがキヤノンならではの内部アダプタだ。これは「OCR処理を伴う紙文書のスキャニング」「PDFの結合/分割」「帳票の自動生成」といったキヤノンのイメージング技術が組み込まれており、手作業かつ属人的になりがちだった紙文書の処理をシステム化することに大きく貢献すると見られている。
キヤノンITS 取締役 常務執行役員 事業企画本部長 郷慶蔵氏は「基本的にオープンスタンダードで構築するので、オラクル以外のERP製品などにも対応できるし、将来的にはキヤノン以外のイメージング機器との接続も可能になる」と語る。
キヤノン 常務取締役 映像事務機事業本部長 中岡正喜氏は「複合機ビジネスは現在きびしい時代を迎えており、これからはソリューションにシフトしていくことが必須となる。イメージング技術でナンバーワンのキヤノングループと、ビジネスソフトウェアでナンバーワンのオラクルが組むことで、互いの強みを活かした新しいかたちのソリューションを構築できると思っている」と語る。
キヤノンはこれまでJavaやその他のオラクル製ミドルウェアを同社の製品やサービスに組み込んできた実績があり、今後はその方向性をさらに推し進めるものとして、キヤノンのオフィス向けクラウドサービス基盤「Canon Business Imaging Online」におけるミドルウェア開発など、共同で技術開発を行っていく旨も発表している。