ビッグデータとデータ分析のトレンドが業績を後押し
過去4年(2008 - 2011)の同社の業績を振り返ると、リーマンショックの影響を大きく受けた2009年を除き、順調に売上を伸ばしてきていることがわかる。とくにこの2011年度は過去最高を記録した2010年度の業績を大きく上回る18 - 20%増は間違いないとされている。コーラーCEOは「4年前に比べるとTeradataという会社は本当に大きく成長した。コンサルタントの数、パートナーの数、そしてR&Dへの投資も大幅に増加している」と語る。
成長の原動力となっているのは、"ビッグデータ"というバズワードに代表される非構造化データの爆発的な増加と、企業経営におけるデータ分析の重要性の高まりという、エンタープライズITを取り巻く2つのトレンドだ。FacebookやTwitterといったソーシャルネットワーク、スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイス、そしてタッチ、センサーなどより直感的なユーザインタフェースの普及により、いまや企業が扱うデータの単位は"テラバイト"や"ペタバイト"が当たり前の時代となっている。たとえば世界最大のオンラインオークションサイトeBayのカスタマーデータ量は84ペタバイトにも上るという。「この増え続ける膨大なデータ、それも新しいソースから生まれた新しいタイプのデータから、いかに効率的かつ迅速に役立つデータを取り出すか。これからは分析力が企業にとっての重要な差別化要因になる」とコーラーCEOは断言する。
ビッグデータの特徴は単に容量が大きいだけでない。ビッグデータとは"非構造化"データを指す言葉として捉えられるのが一般的だが、「非構造化データではなく、多構造のデータ」という表現をする人も多い。つまりより複雑な階層構造をもったデータという理解だ。言い換えれば、ビッグデータを分析するには複雑なデータをシンプルに読み解く力が問われることになる。「データを読み解くポイントは2つ。データそのものを理解すること、ユーザの要求を理解すること」と強調するコーラーCEO。そして長年データウェアハウジングに特化してきたTeradataこそが、「分析、パフォーマンス、コストの面で最適なソリューションを提供できる」としている。
Teradataの買収戦略
Teradataはここ数年において、同社の技術力を強化することを目的に5つの企業を買収している。
- Claraview(2008年) … リアルタイムデータウェアハウジング、BIコンサルティング
- xkoto(2010年) … データベース仮想化
- Kickfire(2010年) … パフォーマンスアクセラレーション
- Aster Data(2011年) … ビッグデータ分析(MapReduce)
- Aprimo(2011年) … 統合マーケティングhソフトウェア
とくに注目したいのは、昨年買収を発表し、2011年に入って買収を完了させたAster DataとAprimoだ。この2つの企業の買収はTeradataの今後の戦略を明確に方向付けるものとして非常に重要だったといえる。
Aster Dataはビッグデータ分析に欠かせないとされるMapReduceにすぐれた企業として知られており、高速な並列データウェアハウジングを実現する「nCluster」や、MapReduceとともにSQLを利用可能にする「SQL-MapReduce」などが代表的な製品だ。これらはすでに「Aster MapReduce Appliance」などTeradataの1ソリューションとして展開されている。
Aprimoはクラウドベースの統合マーケティングツールを提供する企業として、Warner Bros.やNestleなど多くの優良企業を顧客に抱える。Teradataは今後、顧客企業のマーケティング分野におけるデータウェアハウジングの需要を見込んでおり、ビジネスアプリケーション事業への注力を内外に宣言した買収だったといえる。