JP1とEMの連携で顧客ビジネスの拡大に貢献する
ところで、企業のITシステムにおいて、数多く採用されているのがOracleのデータベースやミドルウェア製品だ。とくにOracle Real Application Clusters(RAC)は、ミッションクリティカルなシステムの信頼性、拡張性の確保に欠かせない存在となりつつある。そして、このOracle RACのプラットフォームとして日立では、BladeSymphonyの活用を推進している。BladeSymphonyはブレードサーバーを核にストレージ、ネットワーク、管理ソフトウェアを一体化させたプラットフォームで、標準搭載される日立独自の高信頼性のサーバー仮想化機構「Virtage」を組み合わせることで、Oracle RACをより高い信頼性のもと柔軟かつ効率的に運用できるようになる。
そして、Oracleのソフトウェア群と日立のプラットフォームを組み合わせて活用する際には、両社の運用管理ツールも組み合わせて利用することになる。データベース関連を深く管理するにはOracle Enterprise Manager(以下、EM)を利用し、データベースはもちろんハードウェア、ミドルウェアなどシステム全体を幅広く管理するのがJP1の役目となる。
Oracle RAC環境をJP1とEMを組み合わせて管理することで、さまざまなメリットが得られる。たとえば、ジョブ管理ツールのJP1/Automatic Job Management System 3(JP1/AJS3)を使うと、RAC環境下でのジョブ管理の自動化を実現できる。またJP1の統合コンソールJP1/Integrated Management(JP1/IM)を使えば、プラットフォームがBladeSymphonyであってもOracle Exadataであっても、システム内で発生するあらゆるイベントやログの一元監視も可能となる。これは、Oracleの純正管理ツールであるOEMとJP1が、密に連携できるからこそ実現するもの。たとえば、EMで検知したデータベースやExadataのハードウェア問題を、JP1/IMからその他のシステムリソースと一緒に監視することも可能だ。
「単にOracle製品の状況がJP1から見えるだけでなく、JP1の管理画面で問題の箇所をドリルダウンしEMの情報にアクセスして原因究明が行えるのです」(更田氏)
EMとJP1を連携させて利用すれば、Oracleを活用する業務システムを自動化し、安定稼働を高いレベルで実現できると更田氏は言う。日立とOracleは、ここ最近特に協業関係が深くなっているとのこと。データベースを含むIT環境が大規模化・高度化していく中で、ユーザにとって効率的な運用を実現するためのベンダ間の連携強化は必然と言える。JP1とEMについては、以前から連携はできていた。しかし、当初はお互いにインターフェイスがあるので「つなげられる」状況に過ぎなかったのだ。それが、いまでは「ベストな構成を両社で検証し、性能も信頼性も十分に発揮できることを証明している」と更田氏。その結果はリファレンスアーキテクチャとして両社のパートナーを通じて公開しており、連携のためのスクリプトなども提供されている。
最新のEM 12cとJP1の連携でシステムはより高度に活用できる
EMは、最新版となる12cが登場する。12cの”c”はクラウドの”c”であり、クラウド環境の管理を新たな目的としている。そのため、クラウド実現のプラットフォームにも最適なExadataの管理をきめ細かく、より深いレベルに至るところまで実現した。Exadataの各システムリソースがGUIから容易に監視、管理でき、さらに従来は管理対象外だったインフィニバンドまでもが管理可能だ。もちろんJP1からも、これらExadataに対する管理機能強化部分は利用可能だ。また、EM 12cの新機能RACプロビジョニングを利用すれば、BladeSymphonyのVirtageを利用してRACを構成する際にも、より迅速な構築が可能となる。
プライベートでもパブリックでもクラウドの活用がさらに進んでいけば、管理ツールの重要性はますます高くなる。クラウド環境を使いこなそうとすれば、運用管理ツールは必須のものとなる。そうであるからこそ、両社の管理ツールのいい部分を活かすための深い連携ができなければならない。更田氏によれば、「両社の運用管理ツールが深く連携することで、システムはより高度に活用できる。これからもオラクルと日立は協力しながら、より高度で効率のよい運用管理を実現するために連携を強化していきたい」という。