クエリの書き換え
本シリーズではこれまでMySQLにおける最適化アルゴリズムについて解説してきたが、なぜそれらを知ることが重要なのだろうか?それはすべて「より良いクエリを書く」ためである。
チューニングを行う上では、クエリが最適な状態かどうか、つまりもっとチューニングする必要があるかどうかを判断することとなる。その判断を行う上でキーとなるのがEXPLAINだ。インデックスを使ってクエリが解決されているか、フェッチするレコード数は多すぎないかと言ったことを材料に、さらに書き換えが必要かどうかを判断する。クエリの書き換えにおいて重要なポイントは、次の3つである。
- 書き換えた後のクエリが、元のクエリと同じ結果を生成すること。
- 書き換えた後のクエリが、元のクエリより効率的であること。
- 実際にクエリを実行して上記2つの条件をクリアしていることを確かめる。
ひとつ目の条件が大切なのは言わずもがなであろう。ただし、アプリケーションが必要とするもの以上の結果をクエリが生成している場合などは、アプリケーション側の見直しも視野に入れるべきであろう。
ふたつ目の条件は、「元のクエリより効率的な実行計画をMySQLは選択することができるか?」ということを判断する必要がある。いくら元のクエリが遅くても、それを解決できる方法が常にあるとは限らない。また、MySQLがどのような実行計画を取りうるかということを知らなければ、効率的な実行計画があっても利用できないだろう。そのためには、本シリーズでこれまでに紹介したアルゴリズムを知っておく必要があるというわけだ。
そして、最も重要なのが3つ目である。結果は正しいか、単体の応答は良いか、並列で実行したときに遅くならないかといったことは、実際に実行してベンチマークをとってみないと分からないことが多い。また、書き換える方法はひとつだけとは限らない。それぞれのクエリについて速度を比較し、最適なクエリを見つけ出すのである。
クエリのチューニングとは、クエリを書き換え、そしてEXPLAINで実行計画を確認したりベンチマークをとったりして改善されたかどうかを確認するというのを繰り返す、地道な作業なのである。
クエリ書き換えのヒント
MySQLにおいて、クエリをより効率の良いものに書き換える代表的な方法を下記の表にまとめておいたので、クエリの書き換えをする際の参考にして頂ければと思う。
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SQLクエリのチューニングはいくら語っても語り尽くせない話題であるが、本シリーズではこの辺でSQLのチューニングについては筆をおこうと思う。いくら速いCPUを使ってバッファ用のメモリを潤沢に搭載したところで、効率の悪いSQLを書いていては意味がない。これまでに解説した記事が、SQLのチューニングのお役に立てば幸いである。
次回はInnoDBのチューニングについて解説しようと思う。