パフォーマンスチューニングのスペシャリスト
本日登場していただくのは、インサイトテクノロジーで働くオランダ人、マリオ・ブロッドバッカーさん。世界トップクラスのスキルを持つデータベースのスペシャリストである。
素朴な疑問として「どうしてオランダ人なのに日本で働いているか」と問うと、マリオさんは笑いながら「(同社代表取締役の)小幡さんに誘われたから」ときっぱり。
二人は共通の知人の家で開かれたパーティがきっかけで出会った。
小幡さんは2011年4月ごろ、マリオさんに熱心に誘いをかけた。データベース監査製品「PISO」のSQL Server版に関わってもらうためだ。以前、マリオさんは同製品Oracle版で短期の開発支援をしたことはあったが、今回はより長期ということだった。
しかしタイミングが悪かった。マリオさんはオランダで新居を購入したばかりだったのだ。それだけではない、日本という異国の土地で働くことは言語や習慣の壁など、困難が山積していることは目に見えている。なので最初は断った。あまりに勇気のいる決断だったのだ。
「でも……。徐々に考えが変わってきました」とマリオさん。小幡さんがマリオさんの奥さんにも日本での仕事を提案するなど、熱烈なアプローチが功を奏したのだろう。最終的にはマリオさんは「新しい道に進むいいチャンス」と思うことにして、2011年9月に3年のビザを取得して来日。現在は日本語を少しずつ勉強しているという。
マリオさんの職歴を追うと、実に多様だ。エンジニアとしてのスタートはCOBOL開発からだという。後にHPに転職。このあたりからデータベースに積極的に関わるようになる。
HPではデータベースベンチマークのスペシャリストだった。小幡さんがマリオさんの脇からベンチマークの裏話を開かす。
「最高のベンチマーク結果を出すには高いコストがかかるんです。いいソフトウェアでも、ただ実行させるだけではいい結果は出ない。高性能なハードウェアも必要だし、高度なチューニングも必要。そこに高いスキルを持つスペシャリストを確保するコストも必要になってくるんです」(小幡さん)
そんな場面でお呼びがかかるのがマリオさんだった。他社製品よりも高いベンチマーク結果を出すことはマーケティング戦略的にも重要なポイントとなる。マリオさんは製品の威信を背負っていたとも言える。具体的にはマリオさんはインテルとHPが共同開発した64ビットマイクロプロセッサ「Itanium」の専門家で、主にSQL Serverを扱うことが多かった。ベンチマークの経緯で得られた知見をマイクロソフトにフィードバックすることもあったという。