ビッグデータで注目集めるBI市場
--- 企業のデータ分析が注目されている中、マイクロストラテジーへの注目も高まっているようですが、そんな中で日本をアジア・パシフィックのマネジメントと統括されました。その背景をご説明ください。
まず、グローバルな規模でのマイクロストラテジーの戦略の統一と強化を図るという意味で、アジアパシフィックのチャネルマーケティングを担当してきた私が日本を見ることになりました。これまで私はワールワイドのチャネルサービスやOEMを担当してきました。
現在、マイクロストラテジーはBIを大きく4つの市場の中で捉えています。すなわち「ビッグデータ、モバイル、クラウド、ソーシャル」の市場です。この4分野で日本の市場が占める役割は非常に大きい。そこに対して本社の戦略との連携をより強くするというのが今回のマネジメントの体制変更の理由です。
まずビッグデータ。20年間、DWHやBIに取り組んできた企業としては今回のビッグデータの波は、見逃すわけにはいけません。われわれが力を入れていくことまず、今顧客側から作られる膨大なデータをハイパフォーマンスな分析に利用するために提供することです。BI専業ベンダーとしては、このハイパフォーマンス性が競争力だと考えています。
そのために、われわれは米国の本社にハイパフォーマンス研究所という研究機関を設置しています。そこでわれわれの顧客企業4000社から、大手20社を選び調査をおこないました。業界としては、金融、保険、小売の多くの会社がマイクロストラテジーをどう使っているかを分析し、われわれの製品の最適化と拡張性への対応をおこないました。
そこでの調査結果を踏まえて、提唱しているのが「エンタープライズ・スタンダリゼーション」という考え方です。これはBIのプラットフォームを統合していこうというものです。
現在、大手の各社では各事業部でBIのプロジェクトが別個に行われていて、それぞれのプロジェクトに、ばらばらな製品が使われていることが多い。ビッグデータ分析の時代には、企業の顧客や内部から生まれる様々なデータを、統合的に分析していくことが求められています。たとえばイギリスの小売業の大手のテスコは、BI基盤を共通化することを考え、マイクロストラテジーのBIアプリケーションに共通化することで、サーバーの数を10%に削減し、かつ構造化、非構造化の異種データの分析を統合プラットフォームで可能にしました。このようにビッグデータの時代には、われわれの製品は有利になるだろうと自負しています。
すべての企業アプリケーションがモバイル対応にシフト
--- 一昨年からモバイル、とりわけiPadなどのタブレットデバイス対応を強化されてきましたが、その後の成果はいかがでしょうか?
モバイルにフォーカスし始めたのは4年前です。BIのレポーティングのためにモバイルデバイス向けソフトのリリースから始めましたが、今ではすべてのビジネスプロセスにモバイルデバイスを対応させる段階に来ています。この状況はちょうど15年ぐらい前に、ERPが普及して、企業内のすべてのシステムが対応を急いだ状況と似ていると思います。
マイクロストラテジーのiOSアプリも、最初は情報系のデータのレポーティングやBIのダッシュボードを参照するためだけのものでしたが、今ではデバイスの側からデータを更新したり、トランザクション処理に活用することが可能です。
ここでもわれわれは新しい提案をしていて、「拡張エンタープライズ」というコンセプトを打ち出しています。これは、ビジネスデータのリタルタイムな可視化を、経営層から社員、さらには取引先やパートナーまで拡大していくというものです。
今手がけているのは、イギリスの大手保険会社。2500万人の販売員や代理店の全員が、iPhone、iPad、Androidなどのモバイルデバイスを持っており、金融商品の販売状況や最新情報をリアルタイムに参照しながら保険商品を効率的に売っています。
また、iOSの機能であるAirPlayなどに対応して、社内でのデータの可視化をiPhone/iPadからApple TVに映して提案やプレゼンをおこなうといった新しい方法も推奨しています。