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週刊DBオンライン 谷川耕一

ITシステムという舞台の主役は一体誰なのか

1990年頃は、UNIXサーバーもあったものの、まだまだメインフレームが幅を利かせており、この頃は明らかにハードウェアが主役の時代だった。高価なメインフレームを購入すれば、ソフトウェアはおまけ。ほとんどタダのような値段で、プログラム開発しますという話も耳にした。この頃は、どのメーカーのどんなハードウェアを導入するかで顧客は悩み、ベンダーは顧客にとにかく値段の高いハードウェアを買ってもらうことにやっきになっていた。

ハードウェア、それともソフトウェアが主役?

 2000年くらいになると、オープンシステム化なんて言葉が定着し、徐々にソフトウェアの重要性が高まってくる。とはいえ、まだまだハードウェアベンダーの力は強大、ソフトウェアベンダーとしてはどのハードウェアベンダーと組むかで、大きなビジネスを獲得できるかが決まる時代だった。

 当時は、各ハードウェアベンダーが独自にCPUを開発し、内部バス構造なども独自実装なのが当たり前。オープンとは言うものの、ハードウェアが異なればOSも違うし、当然ながら動くソフトウェアも異なる。とはいえ、この頃からIA(Intel Architecture)サーバーなんて呼び名のハードウェアが登場、IntelのCPUを搭載したサーバーが徐々に市場で増え始める。

 IAサーバーが台頭してくるころから、システムの主役は徐々にソフトウェアに取って代わる。メーカーが異なっても、IAサーバーであればその性能、機能はどれも似たり寄ったり。あまり差が分からない。そうなると、かつてはソフトウェアベンダーがハードウェアベンダーに歩み寄っていたのに、ハードウェアベンダーがソフトウェアベンダーの顔色を窺うようになる。

 市場で評価され売れるソフトウェアが、いち早く自社サーバーできちんと動く。この動作保証をソフトウェアベンダーからもらわないと、ハードウェアがなかなか売れない時代になっていく。主役交代というわけだ。Intel Itaniumを搭載したサーバーは、ちょうどこの主役の入れ替わりのタイミングで登場した。中身的には主役を張れる特長を十分に持っていたけれど、時代が彼を主役の座には置いてくれなかった。

 やがて、Oracleというソフトウェアから「あなたとはもう付き合いたくないの」と言われてしまう。じつは、Sun MicrosystemsのUNIXサーバーだって、かつては主役の座に君臨していた売れっ子。しかし、徐々にその座は奪われ、いつしか脇役に甘んじる状況に。とはいえこちらは、Oracleから「今後の人生を一緒に歩んでいこう」と手をさしのべられる。それを受け入れたことで、復活。いまでは、Oracle Exadataという新たな顔で、主役を張れるようになった。

 Oracleに袖にされたItanium、この仕打ちは納得できないと猛烈抗議。最初はかたくなだったOracleも、裁判所からきちんと対応しなさいと叱られ、次期バージョンとなるOracle Database 12cでもItaniumとは手を結びますよと正式に発表することに。なんとか、舞台からの降板は免れたが、これでまたItaniumが主役に返り咲けるわけではない。彼がまた抜擢されるには、いままでにはない何か画期的な進化がないと難しいだろう。

 とはいえ、冷静に考えてみると、ITシステムという舞台の主役はあくまでもそれを利用するユーザー自身ではないかと。各種ハードウェアやソフトウェアは脇役や大道具、小道具に過ぎず、ユーザー自身がそれを使ってどんなシナリオを演じるかこそが重要。ユーザーが、舞台の下から成り行きを見守っているようじゃダメだろう。

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ビッグデータでテープバックアップが見直される

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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