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ビッグデータ分析ビジネス―その可能性と課題

もし2020年にビッグデータ活用レストラン“ホットスタンバイ”が登場したら?ビッグデータ活用の可能性と課題


事業への情報・通信技術の活用が新しい段階に進展しつつある。これまでの「電子化・自動化」から「データからの知見の導出」という段階への進展だ。これを象徴的に示すのが「ビッグデータ」という言葉への注目だろう。ビッグデータは「活用すれば大儲け」ではなく「活用せねば廃業の危機」となる危惧すらある。直近事例を通して、ビッグデータ活用の可能性と課題を改めて確認する。

「2020年のレストラン」はどうなっているだろうか?

 2020年にはこんなレストランが出てくるかもしれない。グローバルなウェブサービス事業によって一躍名を馳せた事業者が運営するレストランだ。仮にレストラン“ ホットスタンバイ” と呼ぶことにしよう。そこでは次のようなサービスが提供されるだろう。

 まず、“ホットスタンバイ” を訪れた客が手に取るメニューはタブレットPCを活用している。もちろん料理の写真集には留まらない。客の来店履歴、注文履歴、性別・年齢・体格・服の趣味などから推測される属性により、メニュー表示を最適化する。前回の食べ残し状況すら把握しているかもしれない。

 客の目に止まらぬところでも工夫はなされる。例えば、経費削減の観点から売れ残りによる食材廃棄をすることは“ ホットスタンバイ” では許されない。売れ残りを減らすために、厨房の在庫とメニュー表示の最適化を連動させるだろう。

 いずれも1500円のハンバーグが60個とエビフライが5個あり、ともに明日が賞味期限であるとき、店としてはハンバーグをより積極的に売りたい。そのとき、メニュー上ではハンバーグを目につきやすく表示し「ボリューム満点!本日特価1200円!!」と示すだろう。逆にエビフライは目につきにくく、しかも少し割高に表示することも考えられる。

 “ ホットスタンバイ” は店外のデータと連携することにより、客の位置データなどから「腹の空き具合」の予想もしているかもしれない。来店直前まで喫茶店に長居していれば、お茶の一杯も飲んでいることは疑いなく、「腹ペコというほどではない」と判断されよう。そのような予想のもとでは、先のハンバーグを勧めるにしても「ボリューム満点!」ではなく「意外とサッパリ!」という売り文句とするのが合理的だ。

 これはあくまで想像であり、今のところ“ ホットスタンバイ” は実在しない。荒唐無稽とのお叱りもあるだろう。しかし2001年の時点では、WikipediaもYouTubeもGmailもなかった。2020年に“ ホットスタンバイ” のようなレストランが出てこないと言い切れるだろうか。むしろ、インターネットサービスの世界でビジネスモデルが成熟しつつあることを考えれば、大量データの活用に長けたウェブサービス事業者がサイバーの世界を飛び出し、フィジカルな世界の事業に乗り出してくると考えるのが自然ではないだろうか。

 そして、ある日突然このようなレストランが登場した時、外食業界の競争状況は一変するはずだ。収益増大・コスト削減のいずれの点においても優れた施策を講ずる新進気鋭の事業者の前で為す術もなく既存事業者が駆逐されていくという危惧すら生ずる。もちろん外食産業は一例に過ぎず、ありとあらゆる業界において同様の危機は生じうる。小売、製造、銀行、保険、農業、物流、メディアなど例外はない。

 この背景にあるのが、新たな段階のIT活用、すなわちビッグデータ活用の進展である。本稿ではビッグデータ活用において先行する販売促進領域の先行事例を通じ、上のレストランの事例があながち荒唐無稽ではなく、それに備えた施策を愚直に始めておくべき状況にあることを示したい。

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ビッグデータの特性は「高解像」「高頻度生成」「多様・非構造」

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この記事の著者

鈴木 良介(スズキ リョウスケ)

株式会社野村総合研究所 ICT・メディア産業コンサルティング部 主任コンサルタント2004年、株式会社野村総合研究所入社。以来、情報・通信業界に係る市場調査、コンサルティング、政策立案支援に従事。近年では、クラウドおよびビッグデータの効率的かつ安全な活用を検討している。近著に『 ビッグデータビジネスの時代』...

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https://enterprisezine.jp/article/detail/4203 2014/03/28 17:00

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