PaaSならSI企業も活躍する場ができるはず
イベント期間中に、日本オラクルの遠藤社長に話を聞く機会があった。この3つのラインナップのどれに期待しているかを訊ねたところ、答えはPaaS。その理由の1つが、日本特有のビジネスモデル、直販ではなくパートナー販売のビジネス割合が大きいこと。つまり、SaaSやIaaSよりも、PaaSのほうがパートナーが関与しやすいはずだということ。
SaaSだけで、ERP的なアプリケーションの世界すべてを実現するのは現実的ではない。なので、SaaSとカスタマイズしたアプリケーションなりを組み合わせることになる。その際には、既存のオンプレミスとの組み合わせもあれば、クラウド上でERPのアドオン・カスタマイズ的な機能追加をすることも。当然このあたりは、日本ではSI企業などが担当することになる。クラウド上でアドオン開発するのなら、PaaSのほうがプラットフォームとして向いているということだ。また、日本固有のISVのパッケージソフトを、クラウドに持っていく際にもPaaSが利用しやすいのではというのもあるようだ。
遠藤氏がこういった判断をしている理由には、日本でSalesforce.comのPaaS「force.com」が「うまくいっている」印象をあるからとのこと。この遠藤氏の見解については、ほとんど同意できる。けれども、ISVがOracleのクラウドを使って、積極的にパッケージ製品をクラウド化してビジネス展開するかというと、そこはちょっと私は懐疑的。本来ならforce.comと違い、Javaなどでアプリケーションを構築していれば、OracleのPaaSに移植するのはそれほど難しくないはず。技術的な参入敷居は低いが、じつはOracleのパートナー制度的にはちょっと敷居が高いのではと思うのだ。
というのも、force.comのビジネスが活性化しているのは、大手ISVの参入ももちろんあるが、むしろ数多ある小さなISVの「小さなビジネス」が支えているから。少なくとも日本では、社員数が数10名程度の企業が、こぞってforce.comビジネスに参入している。必ずしも参入企業がビジネス的に成功してはいないかもしれない。しかしながらその裾野はかなり広いので、結果的にforce.comのビジネスが活性化しているのだ。