クラウド化、IPv4アドレス枯渇対策、スマートフォントラフィック対策とここ数年話題の絶えないインターネットを支えるインフラ技術だが、現在最も関心を集めているキーワードは「Software-Defined Networking (SDN)」だろう。三者三様の混沌としたSDNのこれからを考える。
SDN(Software-Defined Networking)とは
クラウド化、IPv4アドレス枯渇対策、スマートフォントラフィック対策とここ数年話題の絶えないインターネットを支えるインフラ技術だが、現在最も関心を集めているキーワードは「Software-Defined Networking (SDN)」だろう。日経ネットワーク2012年1月号の「読書が選ぶ最新キーワード」では17位と年初はあまり注目されていなかったが、2012年後半には各種イベントや雑誌の特集でもSDNの言葉を見ない日は無かった。
それもそのはず、SDNとはネットワークのトラフィック・フローをプログラムによる制御可能にする新しいネットワークアーキテクチャであり、この中にネットワーク仮想化技術が含まれる。もはや現在のインフラ構築に欠かせない技術となったサーバー仮想化に続くネットワーク側の必然の対応として、多くの業界関係者の期待を集めるのは当然とも言える。
現在、スマートデバイスやソーシャルメディアの生み出すトラフィックと変化の速度、サーバーの仮想化技術の普及によって、現在のネットワークアーキテクチャは様々な課題を抱えている。
これらの課題を解決するために新しいインフラアーキテクチャとしてSDNが注目を集めている。SDNを推進するONF(Open Networking Foundation)は、以下のようにアーキテクチャを定義している。
- アプリケーション、コントロール、インフラストラクチャーの三層からなる
- データ転送プレーンと制御プレーンを分離
- ビジネスアプリケーションともAPIにより連携可能
- SDN コントローラによる集中管理
- オープンな仕様
従来のネットワークでは一つの機器にポリシー、ルーティング、パケット転送を行う機能が実装されており、個々の機器に個別に設定を行う必要があった。これらが分割されることで、SDNコントローラから一元管理を行うことができるようになる。これにより個々の機器を個別に設定する必要が無くなり全体のポリシーを定義すればそれに従ってパケット転送が行われるようになる。
また、スイッチをパケット転送に特化した製品に置き換えることができれば、従来の高度な機能を持った製品ではなく、安価な製品に置き換えることが期待されている。
これらの新しいアーキテクチャによって、OPEX/CAPEXの削減、インフラ構築期間の短縮効果が期待されている。
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大元 隆志(おおもと たかし)
ITビジネスアナリスト/顧客視点アドバイザー 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、 技術者、経営層、顧客の3つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。講談社 現代ビジネス、翔泳社EnterpriseZine、ITmediaマーケティング等IT系メディアで多くの記事を執筆。所有資格:米国PMI認定 PMP、MCPC認定シニアモバイルシステムコンサル...
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