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“キャリアショック”を乗り越える「人材育成の変容」と「学び直し」-慶應義塾大学大学院 高橋俊介特任教授インタビュー(第3回)

『事業変革時代のキャリア論が必要なワケ』 


前回は、21世紀のキャリアのポイントを3つに絞り、そして、新しいキャリア像としての「生涯第一線のプロフェッショナル」という働き方、その基礎力を身につけるためのキャリア教育の見直しに関して解説いただきました。今回は、企業の人材育成機能のあるべき姿について解説いただきます。

「人材育成機能の見直し」と「キャリア自律」-企業人材育成のあるべき姿

 第1回目の記事で解説したような時代の変化を踏まえると、企業のあり方や人材マネジメントをどう変容させるべきかが姿をあらわします。

 まず1つ目のポイントは、「組織内の人材育成機能の見直し」です。伝承型人材育成では、とうてい人が育たない。伝承というのは、過去に必要だったスキルを身につけた上司が、部下にそのスキルを教える形式を言います。これまでは、“伝承的縦型OJT”といえるものが主流でした。しかし、これからは新しい能力がどんどん必要になり、働き方もどんどん変わってきます。伝承が不要とまでは言いませんが、これから重要なのは“伝承型ではない横型OJT”のような、お互いに切磋琢磨して刺激し合い、学び合う組織です。教えること・教わることを、上下関係と切り離す必要があります。

 人材育成の序列はかつて、日本のOJTにおける強みでした。教える方が上で、教わる方が下。この形が伝承の連鎖を生んできたという意味で、縦型OJTの良さを日本の企業はうまく活用してきたと言えます。

 しかし、今の時代はこれが弱みになります。なぜなら、上の人間が教えられないことが増えてくるからです。すると、縦の学びには限界が来る。横の学びが重要になってきます。

 人材育成に対して、「上司が部下を育てる」という捉え方をするのではなく、「お互いが学ぶ場を作る」といった方向へ、会社の仕組みをシフトさせていくべきです。

 2つ目のポイントは、「キャリア自律」です。自分のキャリアは、自分で切り開いていくという発想を持たせること。そして、そういう行動をどんどん、仕組みとして後押しすることです。

 たとえば、社内公募や社内FAがありますが、制度だけ作ってもキャリア自律の意識がなければ、誰も手を挙げません。10年後のキャリア目標を立てさせるのを、キャリア自律だと思ったら大間違いです。そもそも、10年後に、その会社があるかどうかわからない。それは言い過ぎだとしても、その事業があるかどうかはわからない。職種内容が変わっているかもしれません。そのような傾向があるのに、長期的なキャリアを考えること自体が、キャリア自律に反します。

 変化の激しい時代に見合った「キャリア自律促進策」を実施しなければなりません。基本は「キャリアコンピタンシー」を強化することです。そして、「私は次にこういうことをやりたい」「こういうことにチャレンジしたい」とアピールし、実際に手を挙げる人に対して、どんどんチャンスを与えていきます。そうすれば、キャリア自律形成が実を結んでいく。会社の大きな柱として、自律的キャリア形成の風土を作ることが求められます。

図1:10個のキャリアコンピテンシー

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無色透明で柔軟な人事制度-企業の人材マネジメントのあるべき姿

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慶應義塾大学SFCデザイン思考研究会(ケイオウギジュクダイガクエスエフシーデザインシコウケンキュウカイ)

  イノベーションツールの1つである「デザイン思考」の普及活動に取り組む。研究会が翻訳したスタンフォード大学d.school発行の『デザイン思考家が知っておくべき39のメソッド』は公開3日で2万件ダウンロード。イノベーション実践のためのデザイン思考ワークショップは常に満員で、企業向けのイノベーター育成プログラムも提供している。問題発見・問題解決を行うクリエイティブクラスに向けた、10年後の知識社会で活躍するための学習環境づく...

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