PostgreSQLの世界へどっぷりと―「読みは当たっていた」
基幹システム刷新のプロジェクトが一段落つくと、現在の部署に異動になった。従来のように特定の顧客を抱えることはなく、将来流行しそうな新しい技術を評価する。主にオープンソースのミドルウェアが対象となる。実際に企業システムに導入可能かどうか検証し、可能と分かれば担当チームの後方支援を行うこともある。
現段階はまず社内に理解を促すところから。商用製品の採用が中心だった社内にオープンソースの普及を進めている。顧客はもちろん、社内のエンジニアからも「オープンソースで本当に使えるの?大丈夫?」と懐疑的な声があったからだ。
「現実的にどこまで使えるかを伝えています。なかには検証したけど『現時点では使えない』ものもありますから」と、中西さんは地道に検証し、正直に結果を開示する。データベース製品だとかつてはMySQLとPostgreSQLの両方を検証していたが、最近ではPostgreSQLに絞っているそうだ。
理由は基本的な機能や性能では両者に大きな差はなく、人的リソースの制限もあるため。PostgreSQLだと特定のベンダーに属さないという“政治的な”要素も安心材料となっている。また日本国内ではPostgreSQLが普及しており、PostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアムのように企業導入に向けたコミュニティ活動も活発であることも後押しとなっている。
「PostgreSQLに注目しているのは3年ほど前からですが、現在の潮流を見ていると『読みは当たっていたな』と思っています」
2012年夏にはLPI-Japanが運営しているオープンソースデータベース技術者認定試験Gold(OSS-DB Gold)に合格した。普段の業務でPostgreSQLに携わっているため、スキル的にはGold合格レベルには達していた。
中西さんは「社内でPostgreSQLを普及させる立場なので、とらないと示しがつかない」ということで、OSS-DB Goldが出たら間もなく、試験にチャレンジした。結果は問題なく合格。特に性能に関する問題の正答率は普段から検証しているためパーフェクトだった。
試験勉強にかけた時間はおよそ2週間。中西さんのおすすめは実機を触ること。現段階ではOSS-DB Gold向けの試験対策本が少ないため、試験の見当をつけるのが難しいところだ。中西さんは「基礎知識があれば、最初は不合格でも試験の傾向はつかめると思います。あと問題数が少ないことは注意しておいたほうがいいでしょう」と話す。設問数が少ないため、間違えると致命傷になりかねない。確実に正答を狙いたいところ。
近年では商用データベース経験のあるエンジニアがオープンソースデータベースに携わる場合も目立つ。中西さんは「データベースの仕組みを理解していれば同じRDBなので、オープンソースデータベースといっても、そう難しくないはずです」と話す。大事なのは根幹の仕組みを理解することだという。