目指すは、「得意分野を持つジェネラリスト」
中西さんは最近のオープンソースデータベース動向をどう見ているだろうか。
「オープンソースであろうとも基本的な機能は商用のものとそう大差なく、性能を見ても運用次第では遜色ないレベルに達してきていると思います。ただ商用はオープンソースと比較して周辺ツールが充実していたり、クラスタリングなど高度な運用に関する機能を持ち合わせていることなどが優位性としてあげられます。オープンソースデータベースにとってこうした側面はこれからの課題といえるでしょう」
オープンソースデータベースは商用製品にまだ及ばないところもあるものの、最近では周囲のオープンソースデータベースへの意識が変化してきていることを中西さんはひしひしと実感している。前は「そもそも使えるの?」と懐疑的だったが、今では「ここはどうすればいい?」と実践的なところに目が向けられるようになってきたからだ。企業システムにおける詳細な導入事例が開示されるようになり、周囲の関心は実際に使う上での具体的なノウハウに向くようになってきた。これは裏を返せば、「企業システムでも使える」という信頼を得たからだろう。
中西さん自身の将来はどうか。何かの技術だけを究めるスペシャリストとなるのはやや抵抗があるようだ。流行が去り、廃れてしまうというリスクを懸念してのことだ。目指すは「何か1つは得意分野を持つジェネラリスト」。中西さんにとって「何か1つ」となるのはもちろんデータベースとなるだろう。
データベースならアプリケーションの上層にも、ネットワークやOSなどの下層にもつながっているため、データベースをキャリアの中心にすえるというのは賢明といえる。またオープンソースなら今後の需要も見込める。
「今後はPostgreSQLの世界で名前が売れるようになりたいですね」と中西さんは笑顔で意気込みを見せた。
■■■ Profile ■■■
中西剛紀 NAKANISHI,Yoshinori
TIS株式会社
コーポレート本部
戦略技術センター 主査
TIS入社後、
2010年に現部署異動後は PostgreSQLをはじめとするオープンソースの技術検証を開始し、得られたノウハウを体系化したアプリケーション基盤「ISHIGAKI Template」を開発。
現在は ISHIGAKI Template を通じて、オープンソースを
社内のプロジェクトへ活用する際の技術支援を行うとともに、
「OSSマイグレーションサービス」の事業立ち上げにも参画している。
また、得られたノウハウや情報はIT系雑誌、弊社技術ブログといったメディアや、日本PostgreSQLユーザ会、
趣味はカラオケ。1人で3時間位歌い続けることも可能で、ストレス解消には一役買っているのかもしれない。