イノベーティブな意思決定のためには内部状況と外部環境の把握が不可欠
志賀氏によれば、人は1日に10回、多い人は数100回も意思決定しているという。
企業においては、現場レベルの戦術的な意思決定では市場データや売り上げデータなど、おもに構造化データが用いられる。これに対し経営層などの意思決定では、BIダッシュボードのようなものを利用し、構造化データももちろん利用するが、たとえば人との会話などの非構造化データも参考にされることが多い。
経営層が行う意思決定で失敗をすると、「重大な事件に発展する」と志賀氏は指摘する。失敗例として志賀氏が挙げたのが福島第一原発の事故、ボーイング787のバッテリー不具合、シャープを始めとする日本家電の業績不振、そして太平洋戦争を日本がなぜ回避できなかったかというものだ。福島第一原発やボーイング787は内部状況の把握、シャープや太平洋戦争時の日本は外部環境の把握が十分にできていなかったことが敗因だ。
「意思決定には、これら両方がないと始まりません。そして正確な意思決定をするためには、バイアスのかかっていない正しい分析をしなければなりません。安全神話や精神論、成功体験などでは、正しい意思決定はできません」(志賀氏)
さらに志賀氏は、正しい分析を行った上でイノベーティブな意思決定をする必要があると言う。このイノベーティブな意思決定とは、これまでできなかったことをできるようにするもの。そして、イノベーティブな意思決定を支えるのが、インフォメーション、ソーシャル、クラウド、モバイルという4つの力だ。この4つをガートナーでは「Nexus」と呼び、それぞれを結び付けることでイノベーティブな力になる。