SAP HANAは当初アプリケーションを拡張する形で進化してきた。その区切りとなったのが前回のSP5。
SAPジャパン バイスプレジデント ビジネスソリューション統括本部長 堀田徹哉氏は「アプリケーションの進化はひとつの完成形に到達した。SP5からはインフラとして進化し、さまざまなデータソースとの相乗効果を狙っている」と話す。SAPが「SAP Real-time data platform(RTDP)」と呼ぶ企業内のリアルタイムデータ処理基盤の中核となるようにSAP HANAは機能を拡張する方向に進んでいるという。
SAP HANA SP6ではビッグデータのリアルタイムデータ基盤として多様なデータソースへ手を伸ばせるようになった。SAP HANAだけではなくSAP Sybase ASEやSAP Sybase IQ、さらにTeradataやHadoopへもアクセスできるようになる。これは「スマート・データ・アクセス機能」と呼ばれるデータ仮想化技術でデータアクセス時のSQLを変えることなく動的なクエリを実現する。
「アプリケーションから見ると、(異種混合のデータソースが)HANAの中にあるかのように扱える」とのこと。企業のビッグデータ活用では業務データとネットの非定型なデータを組み合わせて分析することになるため、TeradataやHadoopが扱えるようになると実効性が高まりそうだ。
プラットフォーム機能では地理空間情報機能の強化や拡張も挙げられる。OGC準拠の地理空間データタイプに対応した機能拡張、モデリング環境の統合などにより、位置情報を組み合わせて分析処理することがより現実的になる。またPALアルゴリズムの追加や拡張により、より高度な活用が可能となる。具体的には重機製造メーカーが位置情報やセンサー情報を組み合わせて分析することで故障の予測を可能とし、保守の効率化や新製品開発にも役立てられると期待されている。ほかにも開発者向け機能やデータセンター運用に関する強化や拡張もなされている。
なお5月から提供開始となったSAP Business Suite powered by SAP HANAはすでに100社以上が採用し、本稼働も始まっているそうだ。またAWSでのHANA利用は700社以上。日本国内でSAP HANAは着実に広まっていると言えそうだ。