「ソーシャル、モバイル、クラウド、ビッグデータ」の4つはもはやIT業界の定番のトレンド・ワードとして定着した。しかし、実際にこの4つがどのように関係してくるのかが、一般のユーザーには見えにくい。ソーシャルで収集した個人の属性が、企業のビジネスに活用されるといっても、それぞれの許諾はどのようになされるのか?そもそも、Facebookなどでの個人の関心や、行動の情報が、どのように分析されているのか。BIベンダーであるマイクロストラテジーの製品を通じて、その具体的な活用の様子を画面データなどで紹介しよう。
モバイルとデータ分析のワンストップソリューション「Alert」

マイクロストラテジーは、企業がオリジナルのモバイル・アプリケーションを開発し、ソーシャルや自社内DBと連携し、顧客分析からマーケティングをおこなうための、プラットフォーム「Alert」を提供している。
独立系BI製品のベンダーであるマイクロストラテジーが、このソリューションを提供する目的は何なのかを、同社のセールスエンジニアリング&マーケティング ディレクター金翰新氏に聞いてみた。
「Alertは、企業がパーソナライズ分析とeコマースを実現するためのプラットフォームです。コンシューマアプリとBIとCMS、クラウド連携ソリューションをワンストップで実現するためのものです。」(金氏)

具体的には、企業が独自のモバイルアプリケーションをつくるための基本機能(通信、データ管理、セキュリティ、センサーインテグレーションやジェスチャー処理など)を、ノンコーディングで生成するライブラリ群を提供し、最小限の工数で独自のキャンペーンアプリケーションをつくり、これに販促用のクーポンシステム機能を追加し、さらにFacebookの顧客情報を連携する機能を強化するというもの。
Facebookとのアカウントのリンクについては、情報提供を設定した上で、興味や関心に応じたクーポンを配信する。
さらに収集された情報は、企業内のCRMと突合され、BIによって分析される。CRM+SNS+BIの連携から顧客インサイトを生み、高度なアクションにつなげるというものだ。
Alertは、ブランド展開をおこなう企業が独自のアプリケーションを配布し、自社のシステムと連携させて本格的な分析を行うという、アプリケーション、分析、キャンペーン支援をワンストップで提供するソリューション。CRMやPOSなどの既存の顧客データとスマートフォンアプリによるデータ、来店した客のつぶやきなどのバイラル効果などを連携させて「バイラルeコマース」が理想像だという。

Tilly’s社によりリアルとオンラインの連携ブランド展開

Alertはアプリケーションのテンプレートと、ブランドや企業がおこなうキャンペーンのプラットフォームを提供する。クーポンやバーコード、QRコードのデータをCRM上のデータと連携させることが容易になる。日本の小売企業などの事例も今年度の後半から公開される予定だ。

すでにこのAlertは米国の小売業界で導入が進んでいるという。代表的な例は、今年はじめに全米小売業界(NRF)の『BIG Show 2013』で発表されたTilly'sのキャンペーン事例などがある。米国西海岸を拠点にするアパレル、フットウェア、アクセサリの専門小売店であるTilly’s社は、マイクロストラテジーのAlertをベースに、店舗、オンライン、の情報を連携させたブランド環境をつくっている。 昨今の、O2Oなどで課題となっている「オンラインデータとリアル店舗データ、CRMデータの統合」を実現している。
ビッグデータという言葉が浮上して久しいが、ここへきてその波は静まるどころか、データ・アナリティクス、統計、ソーシャル分析などのカテゴリーに分かれてますます浮上してきている。分析を武器とするためのソリューションの具体事例も、アプリケーションやツールのレベルでどんどん登場してくる中で、マイクロストラテジーのAlertの事例は近々、面白いものが登場してくるだろう。

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