利益を大きくするために必要な2つのキーワード「経営安全額」と「限界利益率」
前回のセルフ式うどん店のデータを確認しましょう。なお前回を読んでいない方は、まず読んでから、今回の内容を確認してください。
- 客単価は450円を見込む
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客単価(1食)あたりの見積原価
原材料費120円、消耗品費15円 水道光熱費35円 合計170円
(注)消耗品費は、客席で使う調味料、お茶、紙ナプキンなどです。 -
その他のデータ
人件費250万円/月 店舗設備費等180万円/月 合計430万円 - 可能な製造・販売量は17,000食/月
- 従業員数 8名(1日8時間換算)*今回追加した情報です。
*解答にあたっての注意点:損益分岐点を求める公式を使うことや、求める計数を「X(エックス)」として方程式を解く方法は、“特別に指定がない限り”行なわないでください。
- Q1:損益分岐点の売上高では、固定費=【限界利益】となっている。
- Q2:【固定費】を回収した時点の売上高を損益分岐点の売上高という。
- Q3:損益分岐点を超えた売上高である【経営安全額】に含まれる【限界利益】が利益となる。
Q1のポイントは、固定費=限界利益が成り立つ時の売上高が、損益分岐点の売上高だということを理解していることです。
Q2の「固定費を回収する」とは、固定費と同額の限界利益を稼いだということです。うどん店の例で確認してみます。損益分岐点の売上高691万1,100円に到達した時点では、430万円(≒691万1,100円×62.2%)の限界利益を稼いでいます。稼いだ430万円は、固定費と同額である点を確認してください。62.2%(=客単価あたり限界利益280円÷客単価450円)は限界利益率です。
Q3は、特に重要です。うどん店の問題2(目標利益18万円/月を得るための売上高を求めよ)と関係が深い質問です。問題2では、経営安全額28万8900円、限界利益率は62.2%でした。経営安全額に含まれる限界利益は17万9696円(≒28万8900円×62.2%)で、目標利益18万円と一致します(端数処理の関係で目標18万円にはなりませんが、これは計算誤差です)。
Q3のポイントは、「経営安全額」×「限界利益率」=「利益」ですから、経営安全額が大きいほど、限界利益率が大きいほど、利益が大きくなることです。また、経営安全額が大きいということは、損益分岐点を大きく売上高が超えていることを意味します。事業計画では、この2点をどう実現するかを考えることが必要です。