議論を生まなければイノベーションではない
まず濱口氏は、イノベーションの定義として、自身の「仕事の中で十分に機能している」という3要件を挙げた。
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見たこと、聞いたことがない
当たり前だが、以前に見聞きしたことのない、新しさがあること。 -
実行可能である
1の要件を満たしたうえで、与えられた範囲と期間で実現できるものであること。 -
議論を生む
賛成意見と反対意見が必ずあり、合意が形成されないこと。
3について、濱口氏は次のように解説した。
「あるコンセプトを出したとき、半数が面白い、残りが面白くないと言い、テンションが生まれれば、それはイノベーションだ。逆に、全員が賛成または反対でもイノベーションではない。なぜなら、見たことも聞いたこともないことを起こそうとするものである以上、イノベーションには不確実性が伴うからだ。不確実性については、どれだけ議論しても合意できない。合意できるのは、AかBかを選ぶといった意思決定だ」
アイデアよりバイアスを探せ
濱口氏は、イノベーションを実際に起こしていく方法論について、「とにかくバイアス、先入観を壊すことが第1歩」だと強調する。
「過激なことを言うと、ユーザーのニーズなど調べなくてもよい。企業はニーズを製品やサービスに結びつけるのは得意だから、すべてのリソースの80%をバイアス壊しにかけてもよいくらいだ。多くの人が持っているバイアスに対抗する新しいアイデアが、イノベーションを作っていくうえで最も重要なエンジンとなる」