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イノベーションに効く洋書01:“Ten Types of Innovation: The Discipline of Building Breakthroughs” 後編

(第2回) 

自社のイノベーションを実現する“強さのレベル”を見極め、戦術を選択する

(2)イノベーションの「強さのレベル」を見極める

 この部分、英語では “the three levels of innovation ambition” と表現されています。直訳すれば「イノベーションの野心の3つのレベル」となるかもしれませんが、ここでいう野心とは、どれだけのイノベーションを実現したいと思っているかという程度の差を表しているので、「強さのレベル」と表現しています。具体的には次のようなものです。

強さのレベル 概要
コアイノベーション:既存のものを変える
(Core Innovation: Change the Known)
既存のものの品質や使い方、顧客にとっての喜びとなるようなものを変えること。メリットはあるが、すぐに競合に真似されてしまう場合が多い。
「10の型」で言えば、1つか2つの要素を変えることで実現できる。
隣接領域のイノベーション:境界を変える
(Adjacent Innovation: Change the Boundaries)
既存の製品やサービスを再構築するような変化のこと。
「10の型」で言えば、3つか4つの要素を変えることで実現できる。
変革イノベーション:ゲームを変える
(Transformational Innovation: Change the Game)
自社が取り組んでいるもの全てを変えるようなことで、それがきっかけで業界全体に変化をもたらすことになる。完全に新しいビジネスを生み出すことになるが、めったに起こることではない。
「10の型」で言えば、5つ以上の要素を変えることで実現できる。
   図:Doblin - The Ten Types of Innovationを元に著者作成

(3)使用する「イノベーション戦術」を選ぶ

 イノベーションを実現するために利用される戦術にはさまざまなものがあります。フリーミアムと呼ばれる新しい収益を上げる仕組みもあれば、クラウドソーシングといったタスクの処理の仕方もあります。本書の著者らは、そのようなさまざまな戦術を古典的なものから新しいものまで集めたところ、100以上の戦術があることがわかりました。

 そして、その戦術を「10の型」のうち、どこで使えるかを分類しています。具体的にどのような戦術があり、それがどのようなものなのかという解説は、本書を見ていただくのが良いのですが、ここでは「10の型」のそれぞれにどんな戦術が当てはまるのか、代表的なものを取り上げて紹介します。

図:Doblin - The Ten Types of Innovationを元に著者作成

 このように見てみると、それぞれの戦術は決して特別なものではなく、「これもひとつの戦術として数えるのか」というものまであります。傾向として、「基本構造(Configuration)」に分類される収益モデルなどは、インターネットが普及して次々と新しいものが出てきていますが、それと比べると顧客接点の部分などは、そこまで目新しいものは多くありません。

次のページ
自社のイノベーションを実現する「10の型」の総仕上げ

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この記事の著者

新井 宏征(アライ ヒロユキ)

SAPジャパン、情報通信総合研究所を経て、2013年よりプロダクトマネジメントに特化したコンサルティング会社である株式会社スタイリッシュ・アイデアを設立。2006年に『プロダクトマネジャーの教科書』を翻訳出版後、企業に対するプロダクトマネジメントの導入や新規事業開発、製品開発の支援を行っている他、「プロダクトマネジャー養成講座」を開講し、プロダクトマネジャーの養成にも力を入れている。また、プロダクトマネジメントに関する話題を中心とした「Stylish Ideaニューズレター」も毎週発行している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/5162 2013/10/10 08:00

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