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「自炊代行」判決と「電子出版権」新設の動きから見る、電子書籍の著作権問題

■第九回(最終回)


 先日の9月30日、いわゆる「自炊代行」に関する地裁判決が出された。結論は「自炊代行」は(権利者の許諾がなければ)著作権侵害にあたるというものだった。ちょうどよい機会でもあるので、このタイミングで電子書籍に関する著作権制度上の論点についてまとめ、本連載の最終回としたい。

なぜ、電子書籍の「著作権」が急速に問題になっているのか?

 著作権法上、書籍は「言語の著作物」(正確に言えば「言語の著作物を紙に固定したもの」)と考えられる。書籍をスキャンすることは著作物の複製に相当する(CDやDVDのリッピングと同じである)。なお、書籍の裁断は著者の著作権とは直接的に関係しない。このように考えるとCDと書籍は大きく変わるところはないように思える。

 しかし、カセットテープの時代からレコードを個人でダビングすることが一般的であった一方で、書籍を丸ごとコピーする作業は非常に面倒でありあまり行なわれてこなかったという点には違いがある。いわば、書籍の物理的特性が一種のコピープロテクトとして機能していたわけだ。

 しかし、裁断機とScanSnapなどの信頼性が高いオートシートフィーダー付きのスキャナーの登場により、書籍を丸ごとスキャンして電子書籍化する、俗に「自炊」と呼ばれる行為が容易になったことでこの環境が大きく変化した。それに伴って電子書籍の著作権に関する問題点が急速に露呈してきたと言えよう。

次のページ
著作権侵害と認定-「自炊代行」判決のポイントとは

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この記事の著者

栗原 潔(クリハラ キヨシ)

株式会社テックバイザージェイピー 代表、金沢工業大学虎ノ門大学院客員教授日本アイ・ビー・エム、ガートナージャパンを経て2005年6月より独立。東京大学工学部卒業、米MIT計算機科学科修士課程修了。弁理士、技術士(情報工学)。主な訳書にヘンリー・チェスブロウ『オープンビジネスモデル』、ドン・タプスコッ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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