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イノベーターの本棚

企業組織はイノベーション向きではない-新規事業にあう「計画」と「組織設計」とは? 

第4回:イノベーションに効く翻訳書02:『イノベーションを実行する』 

実験を前提とした学習プロセス

 既存事業において、マネジメントの基準になるのは「結果」だ。数値化された業績をみながら、昨年や昨月の実績と比較して「評価」を行う。しかし、イノベーションへの取り組みにおいて、結果は全く基準とならない。

 今月新しく始めた取り組みに対して、比較可能な過去のデータはどこにも存在しない。

 イノベーションのマネジメントで基準とすべきは「学習」だ。どれだけ学習できたかを基準とするほうが、結果を基準とした時よりもうまくいく。ここで言う学習とは「憶測に基づく予想を、信頼できる予測に変えていくプロセス」である。ある種の実験を思い浮かべるとイメージが近い。

 単純化してみよう。手元に5つの選択肢がある。どれを選べば好ましい結果が得られるのかはわからない。そこで、憶測でとりあえず1つを選ぶ。どうやら失敗だった。残るは4つだ。5つの中から適切な1つを予測するより、4つの中から予測する方が「予測精度」は高い。

 もちろん、実際の事業はそう単純ではない。しかし、重要なのは「結果は管理できないが、学んだこと(ここでは、最初の1つは失敗だったこと)は管理ができる」という点にある。予測精度が改善されるのなら、それはよい学習だ。イノベーションに欠かせない不確実性の低減につながるからだ。

図1 学習のいちばんよい指標は予測が改善されているかどうか
(書籍の図版を元に筆者が作成)

 結果を基準にした場合、3回失敗しても「何も得られなかった」となってしまう。しかし、学習を基準とすれば、失敗の度に高まった「予測精度」を手にできる。その予測精度の高さが、組織の財産となる。

 以上のように、学習を前提として計画を立てていこう。そのうえで、次ページから紹介するような形で組織設計を行って具体的にイノベーションへの取り組みを進めていきたい。

次のページ
異なるチームによる共同事業の設計

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この記事の著者

柏野 尊徳(カシノ タカノリ)

岡山県出身。専門はイノベーション・プロセス。スタンフォード大学d.schoolでイノベーション手法:デザイン思考を学ぶ。同大学発行の『デザイン思考家が知っておくべき39のメソッド』監訳など、デザイン思考関連教材は公開6ヶ月でダウンロード5万件。岡山大学大学院で3年間教鞭を執った後、慶應義塾大学SFC(湘南藤...

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