VMware、Hyper-Vへの相性の良さが重要
宮原:導入実績も重視されますね。
池田:QNAPですとNASでファイルサーバーとしての導入実績があるので、そこが強みになると見込んでいます。お客様の多くはファイルサーバーは身近だとしても、共有ストレージは未経験です。仮想化だと「SAN(Storage Area Network)」など聞き慣れない用語が難解で敬遠されがちです。「基本的にはファイルサーバーです」と説明すると「そうか!」と理解していただけます。
宮原:ここは啓発していかなくてはいけないところですね。QNAPの技術的な特徴についても教えてください。
池田:VMware ReadyであることやVAAI(ストレージをつなぐためのAPIセット)サポートなど、基本的なところは押さえてあります。VAAIは例えば10GBのストレージを構成するとき、仮想化のホストのリソースを使わずにストレージ側で構成することができるものです。こうした機能(API)がサポートされているのは運用する上で重要です。Hyper-Vももちろんサポートしています。
宮原:ユーザーにはうれしい機能ですね。仮想化を想定した製品なのだと分かりやすいですし、仮想化で使えるという説得力があります。
池田:このあたりの情報がハイエンドユーザーに届いていないところが我々の努力不足でもどかしく感じています。それでも今年はQNAPの知名度が大幅にアップしたという感触を得ています。QNAPでプレスリリースを出すと、比較的すぐに引き合いがくるようになりました。正直、すごくうれしいところです。
ノンストップで容量サイズ拡張、SSD積めばさらに強力
宮原:拡張性についてはどうですか?仮想化にすると開発用やテスト用など用途が広がり、すぐに容量がなくなってしまいます。
池田:オンライン容量拡張が可能です。サービスを止めることなくストレージプールの容量サイズを拡張しスケールアップできます。
宮原:仮想化用のストレージを購入するなら押さえておかないといけませんね。
池田:QNAPですと2ベイのデスクトップモデルから"VMware Ready"認証取得済みであり、ラックマウントモデルと同じように仮想化環境で使用できます。小さなモデルから使い始めて、そのデータを使ったまま容量を拡張して将来的にはラックマウントモデルへも移行できます。また更にラックマウントモデルではRAID拡張エンクロージャーを用いての拡張が可能となり、データサイズで言えば1TBから576TBまでダイナミックにスケールアップ可能です。
宮原:性能も気になります。最近はやりのSSDについてはどうですか? 最近展示会に行くと必ずSSDが入っていて、HDDだけというのは見なくなりました。
池田:もちろん利用可能です。SSDでRAIDを構成したり、SSDキャッシュとして使うことができます。このクラスのモデルできちんとSSDを押さえているのもQNAPの特徴です。SSDはまだ高いという印象があるかもしれませんが、そんなに大容量のを積む必要はありません。頻繁に読み書きが発生するホットなところに適用すればレイテンシーをかなり改善できます。なお、ネットワークの性能を高めたければ10GbEも利用可能です。
宮原:SSDキャッシュはどのくらい積むのが妥当でしょうか?
池田:ケースバイケースですが、100GBも積めば劇的に変わると思います。ハイエンドクラスで採用されているSSDキャッシュの様な機能をいち早く搭載してくるのも、優れたポイントです。
宮原:個人的にはプライベートクラウドストレージが気になります。外部のクラウドストレージサービスだと情報漏えいが心配で使えないというお客様もいます。ややコンシューマ寄りの機能ですが、むしろSMBにはうけるのではないでしょうか。
池田:SMBというならプロアクティブデータプロテクションもおすすめです。ディスクで異常を検知したらデータを予備ディスクに移行するという機能です。壊れてからRAIDを再構築するのではなく、予防的にデータを移し短時間でRAID再構築を完了させます。
宮原:確かにSMBですと詳しい人がいるとは限りません。この機能があると限りなくメンテナンスフリーになるのでいいですね。安心感あると思います。
池田:運用性や信頼性はQNAPでも特に改善が進んでいる領域です。QNAPのOSにあたるのがQTSで、今秋出たばかりの最新版QTS 4.0では仮想化向け機能、信頼性、パフォーマンスが強化されています。QNAPは精力的に機能改善を進めているベンダーなので、今後も性能強化が期待できます。機能強化はソフトウェアで行われ、バージョンアップは無償ですから今後さらにエンタープライズ向けの製品との性能差は縮まってくる見込みです。将来性という面でもQNAPはおすすめです。