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イノベーターの本棚

いまシナリオ・プランニングが必要な理由―想定外の未来を設定し、イノベーション思考を刺激する

(第13回)イノベーションに効く翻訳書06:『シナリオ・プラニング―未来を描き、創造する 』 

想定外の未来を設定することにより、イノベーション思考を刺激する触媒とする

 シナリオ・プランニングの具体的な進め方ですが、まずその業界の未来を動かすドライビングフォース(原動力)をできるだけたくさんあげます。そのなかで、未来を左右する「分かれ道」となるような、不透明でインパクトのある要因を見つけていきます。なかでも重要な要因をふたつ選び、2x2のマトリックスで表現すると、ここに四つの未来の仮説がうまれます。

 本書では、大学の未来の姿についてのシナリオが例として挙げられています。ここでは、主要な成長市場が国内市場なのか海外市場なのかという軸と、教育ツールとテクニックが、従来の手法のまま継続するのかテクノロジーを使った手法が中心となるのかという二軸が設定されています。その結果生まれた四つのシナリオには、それぞれスタートアップ、イエスタディ、名作劇場、ヘルタースケルターと名前が付けられています。

シナリオ・プランニングの2x2マトリックス
図1 シナリオ・プランニングの2x2マトリックス
(書籍の図版を元に筆者が作成)

 未来のシナリオを描くこうした手法は、従来、「未来予測」の色合いの強いものでした。しかし本書では未来予測という立場を取りません。そもそも、すでに予測のできている未来に対しては、粛々と準備をすればいいだけです。経営判断として問題となるのは、未来を左右する「分かれ道」となるような要因なのです。

 本書では、ブラック・スワンと呼ばれる、9.11やリーマン・ショック、3.11などの予測のできない出来事も視野に入れていきます。こうした想定外な未来に対して、新しい可能性をみずから切り拓いていく未来創造という立場を取っているのです。ビジュアルを多く取り入れた本のデザインは、その表れとも言えるでしょう。

 想定外の未来を設定することによってイノベーション思考を刺激する触媒とする。ここに、未来予測型ではない、未来創造型のシナリオ・プランニングの目的があるのです。

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この記事の著者

小山 龍介(コヤマ リュウスケ)

株式会社ブルームコンセプト 代表取締役1975年福岡県生まれ。京都大学文学部哲学科美術史卒業。大手広告代理店勤務を経て、サンダーバード国際経営大学院でMBAを取得。2006年からは松竹株式会社プロデューサーとして歌舞伎をテーマにした新規事業を立ち上げたあと、2009年より現職。新規事業コンサルティング、ハックノート...

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